ゲンザイカコミライ

宇佐美真里

ゲンザイカコミライ

カノジョが訊いた。

「イマ、何を考えているの???」

ふと我に返るカレ…。


一体、何を考えていたのだろう…。

今…カレは、考えていたコトについて考える…。


何を考えていたのかを思い出す瞬間は、

またスグに一秒…また一秒と、

「イマ」から過去へと遠ざかる…。


何を考えていたのかを考えて…考える…。

考えていたコトを考えて…

それについて考えて…さらに考える…。


カノジョの聞いた「イマ」という瞬間は

そうやって、後ろへと…後ろへと…

留まるコトなく流される。


カレは考える…。

「イマ」という瞬間を考えてみても、

それは一瞬にして遥か昔のコト…。


   考える…考える…考える…。


ふとカレは、一瞬先の「ミライ」について考えてみる。

「ミライ」ついて考えるその瞬間は、既に「イマ」。

そしてまた…「ミライ」は過去へと流される。


  流される…流される…流される…。


今、思う「未来」…

それは既に「過去」の瞬間。


「もっとキミのコトがスキになる…」

ふと、カレは呟いてみる。

次の瞬間「ミライ」は「イマ」となり、

また少し…カレはカノジョをスキでいる。



-了-

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