第5話

過去に戻る魔法



・自分の指定した時間まで世界を巻き戻すことが出来る


・自分以外は記憶を無くす


・巻き戻った過去の中でどのように過ごすかで未来が変わってくることもある




彼女は僕にそう説明した。


「どう?時間を巻き戻す?」


全てを説明し終えた彼女は最後に僕にそう尋ねた



僕は慎重に首を縦に振った


僕が首を縦に振ったのを見て彼女は微笑み、残ったサイダーを全て飲み干した。


「りょーかい」



その言葉が合図だったかのように僕は気を失った




〜〜〜


「……い、……おーい?おーーい!!」


誰かに呼ばれているような気がして目を開ける


目の前には数日前死んでいたはずの彼女



そうか、僕は時間を巻き戻したんだ



あれから、謎の少女に時間を巻き戻させてもらったらしく、死んでいるはずの彼女が生きていた。


「今、何月何日?」


「えぇ?笑。今は8月3日だよ!忘れたの?」


そう困ったように笑った


「あぁ、そうだったね」


僕は上体を起こし当たりを見渡した。一面の花畑、彼女とよく来る穴場の公園



彼女が死ぬ一ヶ月前か


彼女の話を聞き流しながら必死に頭を働かせる。時間を巻き戻したのだから、無駄にしたくはない。


考え込んでいると、右肩が急に重くなった


横を見ると、彼女が僕に寄りかかって寝ている


背もたれがない所でよく寝れるな



1人、苦笑しながら彼女を横にさせ僕もその隣に寝転がった




彼女が死んだ原因



薄々気付いていたんだ。なのに僕は知らないフリをした。

彼女が死ぬまであと31日


僕は彼女を救えるのだろうか

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題名のない御伽噺 拝啓 夏の僕へ @Azure02

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