第4話

「明日に彼女は居ないのに」


彼女の不意に放った小さな独り言がどんな言葉よりも重く響いた


「今、なんて」


すっかり日が落ち、辺りは暗い


蝉やら、波のさざめきやらでうるさいはずなのに、僕には何も聴こえなかった。



彼女はゆっくりとこちらを向き僕と目を合わせた。彼女の瞳に僕が映る


「明日にあの子は居ないよ」


彼女はゆっくりとそう言うと、僕に座るように促した


彼女は何者なんだ


いや、そんなことはどうでもいい、なぜ彼女がそれを知ってる?


驚きを隠せない僕に、彼女は優しく笑いかけると



「言ったでしょ。私は魔法が使えるんだから」




優しいような、それでいて全てを見透かしている様な冷たい声で言い放った



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る