第3話

「暑そうだったからさ!」


彼女は僕にキンキンに冷えたサイダーを渡すと僕の隣に腰を下ろした。


「君、なんでこんな所に一人で居るの?」


「……何となく、海が見たくなって」



僕の友人が1人死んだんだ


そんなことを言う気にもなれないし、かと言って嘘をつくほどでもない。

僕は嘘に聞こえない程度に真実をベールで覆った言葉を彼女に返した


「君こそ、何故僕に声をかけたの」


そう言うと彼女は待ってましたと言わんばかりに僕に顔を近づけ


「私の魔法のお手伝いをしてください!!」


そう頼み込んできた




僕は訳が分からずただじっと彼女を見つめていた


「えっと、?」


「いきなりそんな事言われても戸惑っちゃうよね……」


と、頭を垂れたかと思うといきなり顔を上げ、魔法のなんたら、を説明してきた




〜〜〜


「えっと、つまり…君は時間を戻せる魔法を習得して、その魔法が完璧なものなのか僕で実験させて欲しい、と?」


「要はそういうこと!」



彼女の口から説明された内容はにわかには信じ難い事だった。第一、僕は魔法の類は信じてないし、


過去に戻れるなんて



例えば、そういうものがあったとしても


そんな魔法はきっとあってはならない。


「過去に戻れるなんて、そんなことしたら皆やりたい放題じゃないか」


僕の言葉が耳に入ったのか、


「だからね、私達は魔法を使う人を限るんだよ!」


そう自慢げに言い放った


今の彼女は、えっへん、とでも言いそうな顔だ、



なんにせよ、そんなことをしても得にはならない


「残念だけど、遠慮しておくよ。過去を変えたって今が変わる訳がじゃないしね」


そう言って僕は立ち上がって彼女に背を向けようとした


「でも、明日に彼女は居ないよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る