第633話 【ネタバレ】コミカライズ予定の特別企画その1【警告】


え~以下は拙作をコミカライズして下さる出版社の編集様にお送りしました所謂いわゆる設定に関する雑文の一つで御座います。


ちなみにご送付させて頂きましたのは、半年以上前の、2023年6月で御座います。


近況ノートにてサポーター様向け限定で公開させて頂こうか、とも考えたのですが、長文過ぎるので思い切って【原文のまま】ここにさらしてみる事にしました。


ただしネタバレが多々含まれております。


拙作を最新話までお読み下さり、なおかつネタバレ上等な方、

或いは、拙作をこの先読み進めるつもりのない方、


上記いずれかに当てはまる方のみ、この先へお進み下さい。



(ヒキカエセ)

(ヒキカエセ)

(ヒキカエセ)

(ヒキカエセ)

(ヒキカエセ)









エレン(エレシュキガル)に関する詳細な設定で御座います。

彼女は本作の最大のヒロインであり、彼女の存在が物語の核心部分ともかかわってくるため、200話までには出てこない設定も多々御座います。



まず、作中世界そのものの設定から……


地球側の時代背景は、2023年に酷似。ただしコロナのパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻等は発生せず。

アメリカと日本は安保条約下にあり、富士第一ダンジョン攻略に際しても、アメリカ側から度々オブザーバーが参加している状況。

国際連合、米中、或いは米露の微妙な対立関係は存在。

世界中にダンジョンが発生している現状、各国は日本の『均衡調整課』のような組織を設立して管理に当たっている。


アメリカ:Element Reconciled with Emergency of the Nation《国家緊急事態調整委員会》 (略称:EREN)


中国:中華人民共和国国家安全部 第二十一局


作中世界では、EREN側の要人兼ヒロインとして、ティーナ=サンダース

中国側の要人兼ヒロインとして、曹悠然(ツァオヨウラン)が登場。

今後、ロシア側にも同じような組織、要人を登場させる予定。



世界の成り立ちの背景としては、現実の量子力学的宇宙論であるブレーン宇宙論を準用して、SF的に解釈。

バルクと呼ばれる超空間を漂う無数のブレーン(膜)が存在し、その一つ一つが『世界』であるという理論。

そのブレーンの一つが、我々が住む地球が含まれる世界(宇宙)であり、イスディフイもまた、別のブレーン(膜宇宙)として、我々の宇宙のすぐ傍に存在。

基本的には、ブレーン間の移動は不可能。

ただし、現実世界でも提唱されている理論ですが、重力のみは、我々のブレーンから漏れ出して(つまり移動)いく事が可能。



こうしたバルク(超空間)を超越的に俯瞰可能な何者かが存在。

ちょうど我々が、パソコンのモニター内の3Dオープンワールドのゲームを俯瞰し、楽しむように。

それがいわゆる『神々』



『神々』の一人、エレシュキガルは地球を俯瞰し、羨望を抱き、似たような世界を自ら創造した。

それが『イスディフイ』

しかし彼女は青い星、地球で繰り返される復讐の連鎖が、自らが創造した世界で再現される事をよしとせず、最初、創造物(人間やエルフ達)に黒い負の感情を与えなかった。


その世界は、10年もたずに、文明を維持できず消滅した。


彼女は世界の創造をやり直し、今度はほんの少しだけ黒い負の感情を与えてみた。

その世界では文明は1,000年程継続したものの、やはり衰退、最後は瓦解した。


彼女は結論として、黒い負の感情は、自分よりも低次元のブレーンワールドに住む人々にとっては、文明を維持発展させる必要悪であると判断した。

そのため、今度は黒い負の感情を制限せず、代わりに自らがその調整役を買って出ることにした。


エレシュキガルは、イスディフイの中心に『神樹』を誕生させ、その最上階110層、空中庭園に、実体化して留まることにした。

そしてこの世界にとどまり、実体化を継続するコスト(代償、つまり、人間達がアバターを作り、ゲーム世界を楽しむのと似た状況)として、自らが余分と判断した黒い負の感情を吸い上げ、自らの神性(神としての権能)により浄化し続ける事にした。


当初はこのシステムは非常にうまく回っていた。

魔族、エルフ、人間、獣人、全ての種族はその出自ではなく、能力に応じて人生を謳歌出来る理想郷が誕生した。

そこには国家も身分制度も存在しなかった。


エルフの中に、エレシュキガルとの親和性がずば抜けて高い少女、ポポロが誕生した。

彼女は精霊と交信し、エレシュキガルと直接言葉を交わす能力を持っていた。

彼女はエレシュキガルに愛され、その能力の一滴を分け与えられた。

舞女みこ』の称号を受け、イスディフイの人々の尊崇の対象となった彼女の指導的助言(神託)の下、世界はますます繫栄していった。

舞女みこ』の地位は、彼女の子孫によって、代々受け継がれていった。



永久に続く事を約束されていたはずの繁栄の裏で、静かに破滅の予兆が忍び寄ってきていた。

人々が増え、地に満ち、文明が進歩すればするほど、生じる黒い負の感情もまた、際限なく増大していった。


やがてそれは、エレシュキガルの神性による処理能力を上回った。

誰も、エレシュキガル自身も気付かぬうちに、溢れ出た黒い負の感情はエレシュキガル自身を蝕んでいった。


エレシュキガルは次第に変容していった。

黒い負の感情は、彼女を甘い麻薬のように魅了していった。

より多くの黒い負の感情を求めるようになったエレシュキガルは、突如としてイスディフイに厳格な身分制度を導入した。

魔族を頂点とした、完全な管理専制社会。

人々は能力ではなく、出自で差別されるようになった。


神樹の各層にも、いままでは存在しなかったモンスターが配された。

同時に、各層を突破し、最上層に至る事の出来た者には、あらゆる権力と富が約束された。

人々が競うように神樹の踏破を試み、あえなく挫折していく様を眺める事は、変容したエレシュキガルにとって、愉悦を伴う楽しみになった。



全てが取り返しのつかなくなる直前、一人のエルフの少女が、最上層、エレシュキガルの御座所に辿り着くことに成功した。

彼女の名はアルラトゥ。

ポポロより連綿と受け継がれてきた当代の舞女みこであった。

彼女が最上層を目指してただ一人、神樹を登ったのは、自らエレシュキガルを諫めるため。アルラトゥと邂逅する事で、エレシュキガルの中にわずかに残されていた“光”が警告を発することに成功した。


自らが慈しむべき世界にとって、自らが災厄としか呼びようのない存在へと堕ちようとしている事に気が付いたエレシュキガルは愕然とした。

しかし浸蝕を受け、変容しつつあった彼女に取れる選択肢は限られていた。


エレシュキガルはわずかに残された“光”を切り離し、この世界に生きる一人の少女(エレン)へと転生させる事で、自らの浄化を図った。

浄化が完了する条件は、エレンがこの世界の住民の一人として、自らの天寿を全うする事。

天寿を全うしたエレンは、その時点で慈愛の創世神、エレシュキガルへと再生出来るはず。

同時に、“光”を切り離した自分が完全に闇に堕ちる事を予測して、自らの妹に当たる女神、イシュタルを召喚した。

イシュタルは姉の求めに応じて、イスディフイへと来訪した。

エレシュキガル、イシュタル、そしてアルラトゥの三者による壮大な、しかし欺瞞に満ちた神々の戦いが計画された。


事前にアルラトゥは、事情を全く知らせないまま、妹のノンナを“騙して(比喩表現です。実際は、アルラトゥは妹を巻き込むことに、大いに苦悩した)”イシュタルの祝福を受けさせた。

ノンナは初代の『光の巫女』となり、イシュタルを擁して反エレシュキガルの旗を掲げて立ち上がった。

アルラトゥは事前の計画通り、“光”を切り離し、完全に闇に堕ちた(この時点で、エレシュキガルは、自らがこの計画の一翼を担っていた事、光を切り離して転生させた事全てを忘却。よって、“魔王”エレシュキガルは、自らが創造したイスディフイを、“理由不明に”イシュタルに奪われた、と認識している)エレシュキガルの側に立って、“反乱”を起こした妹と対峙した。

全世界を巻き込んだ大戦に発展するかに見えた戦いは、しかし唐突に終わりを告げた。


事前の計画通り、イシュタルはエレシュキガルの“実体”を破壊出来る武器、無銘刀を獣人族の若き英雄、カルク=モレに授けた。

カルク=モレは単身、エレシュキガルの御座所に迫り(実際は、アルラトゥが彼と戦うフリをして、彼をエレシュキガルの下に導いた)、エレシュキガルの実体を破壊した。


この世界では、エレシュキガル自身が定めた理『ことわり』により、実体を持たない存在は、幽霊の如く、全く世界に干渉する事が出来なくなる。

そして実体を失ったエレシュキガルは、次元の狭間へと放逐され、世界は“解放”された。

しかしその直前、エレシュキガルは、アルラトゥが“裏でイシュタルと通じていた”事に気付き、アルラトゥ含めたポポロの血脈に呪いをかけた。

呪いの結果、アルラトゥとポポロの血脈は、唯一、イシュタルの祝福を受けていたノンナを除いてダークエルフへと堕とされた。


“勝利”したノンナ達は、イシュタル降臨前の歴史を忌まわしいモノと考え、全てを改変した。

こうして“創世神”イシュタルを崇める世界が誕生した。


イシュタル自身は事前の盟約通り、エレンが人生を全うし、慈愛の女神、エレシュキガルへと再生するまでの間、この世界を管理するため、神樹最上層110階、空中庭園に留まることにした。

彼女は最初、アルラトゥに罪はなく、自分はあくまでも再生したエレシュキガルへ世界を受け渡す中継ぎに過ぎない事を広く知らしめようとした。

しかしそれは、ノンナと、当のアルラトゥ自身から拒まれた。

アルラトゥは、世界が再び混乱するのを避けるため、全ての罪を一身に背負う道を選んだ。


アルラトゥとダークエルフ達は、人目を避け、隠れ里で暮らすようになった。




時が流れ、エレンが実際にこの世に生を受けた。

当時の魔族たちの間では、エレシュキガルの風貌、つまり左右の目の色が違うオッドアイの魔族が世界を滅ぼす、とやや伝承がねじ曲がって伝わっていた(魔族を頂点とした社会が崩壊したのは、“魔王”エレシュキガルがイシュタルに敗れたため)。


エレンはまさに伝承通りの滅びの子として、幼いころより両親含めて過酷な虐待の中に身を置かされた。

彼女の唯一の心の慰めは、森の一角、お花畑で出会った精霊達。

しかし精霊とは本来、ポポロの血脈、今は光の巫女を輩出する神樹王国の王族、エルフ達のみが交信出来る存在。

エルフと敵対する魔族は、当然ながら精霊と交信する事は出来ないはず。

忌み子であるエレンが、精霊と交信出来るという事実を知った魔族達は、エレンの唯一の心のよりどころであったお花畑を精霊ごと焼き払った。


吹きあがる炎と罵声を浴びせられ、エレンの心は闇に堕ちた。




すみません、長くなりましたが、この辺の事情は、

第160話 僕は、世界の真実の一端に触れる

第163話 僕は、エレンの壮絶な来歴を知る

第422話 意外

第423話 懐疑

第439話 夢幻

第452話 F級の僕は、『追想の琥珀』に封じられし想いを追体験する



等で書かせて頂いております。





これらを踏まえまして、エレンに関しましては、外見、角は横に飛び出さず、側頭部で巻き込む形に、エレンの表情は、無表情、不思議ちゃん系。

別人格ともいえる魔王エレシュキガルは酷薄な雰囲気にして頂けますと幸いです。


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