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第632話 F級の僕は、オベロンがいらない子状態になっている事に気付かされる
第632話 F級の僕は、オベロンがいらない子状態になっている事に気付かされる
6月21日 日曜日28
ティーナさんの口ぶりから、秦皇島の方は至って順調である事がうかがえた。
これはつまり、中国
「じゃあ実際に施設最奥部に到着して、黒い
『そうね。順調なら1時間後には、あなたの部屋にワームホール開いて戻れると思う』
ならば……
「じゃあ僕はこのまま一旦、アパートに戻るよ。あ、多分、一度イスディフイの様子を確認してくるから、もしティーナ達が戻ってきて僕の姿が見当たらなかったら、そのまま部屋で待っていて」
『OK. それで話は変わるけれど、今後は
「一応、そのつもりだけど……」
もしかしてティーナさん、自分と曹悠然との相性の悪さを気にしている?
一瞬緊張したけれど、ティーナさんは僕の予想とは違う言葉を返してきた。
『だったら今のうちに、Sekiya-sanとInoue-sanにも状況、説明しておいたら?』
言われてみればその通り。
曹悠然については、今僕達が直面している(あるいはしていた)状況と合わせて、二人には早めに伝えないと。
『それと、Suzukiってコの面接の話、今、どうなっているの?』
鈴木!
現在進行形の本筋とは全く関係ないはずの彼女の存在感が、今日は物凄く大きく感じられるのはなぜだろう?
「実は……」
僕は彼女に僕達が頼んだ買い物を巡る経緯について、簡単に説明した。
「……それで、あいつには僕から連絡入れておくよ。今日中に実際の面接が出来るかどうかは……イスディフイの状況次第かな?」
ユーリヤさんからは、今日の午後トゥマに到着予定のモノマフ卿との会談の場に同席して欲しいと伝えられている。
実際の会談時間はまだ不明だけど、“午後”というからには、大体、午後3時~午後6時位の間、つまり日本時間だと午後7時~午後10時位の間に設定される可能性が高い気がする。
まあその辺は、アパートの部屋に戻ってすぐに【異世界転移】すれば、確認取れるとは思うけれど。
とにかく今日の
鈴木の面接は、今日是が非でもしなければならないってわけじゃ無いし、色々片付いてから改めて後日って形でもいいはずだ。
『了解。なんだったら、異世界やあなたの能力についての説明は別にして、私達だけで面接だけでもしておいてあげるわよ』
「ティーナ達だけで面接を?」
『TakashiはSuzukiの事情含めて既に直接、色々聞いているわけでしょ? で、仲間にしてもいいかなって判断になっている』
「まあ……」
今更ながら、あいつが現在進行形で直面させられている地獄のような
「そうだね」
『だったら実質、私やSekiya-san、それにInoue-sanが彼女についてどう判断するかで“面接”の結果って決まりそうじゃない?』
「確かに」
『それにSuzukiの買い物に関しても私が言い出しっぺだし、話を聞いて、
それは確かに助かる話だ。
「そうさせてもらおうかな。それじゃあ、鈴木にはとりあえず家で待機してもらって、またこちらから連絡するからって伝えるとして……だけど僕がこっちの世界を留守にしている間に面接するなら……」
実際に面接のため鈴木を呼び出す時の連絡はどうしよう?
ティーナさんが
『Takashiが
「って、ティーナにって事?」
……色々“誤解”が重なった結果、僕はティーナさんと付き合っている……という事になっている。
『あら? ちゃんと私の事、“カノジョ”って認めてくれているのね。ちょっとだけ安心したわ。だけど今回あなたが頼むべき“カノジョ”は私じゃない』
「ティーナじゃないって……」
あっ!
もしかして?
「関谷さん?」
『Ding ding ding! Correct!』
やっぱり。
だからこその悪戯っぽい声音って事だったのだろう。
『Sekiya-sanはSuzukiに、あなたの“
「じゃあとりあえず部屋に戻って、一度【異世界転移】で向こうの状況を確認したら、すぐに関谷さんと連絡取ってみるよ」
『OK!』
アパートの部屋に戻ってきた時、机の上の目覚まし時計は午後5時25分を指していた。
僕はシャワーを軽く浴び、一息付いてから【異世界転移】のスキルを発動した。
トゥマのシードルさんの屋敷の中。
戻ってきた時、僕達に割り当てられた部屋の中に、僕以外の人物の姿は見当たらなかった。
南向きの窓からは、冬の優しい陽光が射し込み、静けさが辺りを支配している。
トゥマと日本との時差は4時間。
つまりこの地は今、午後1時40分位のはず。
ユーリヤさん達、お茶会するって話していたから……
「こりゃ!」
って、あれ?
目の前の
まさか……?
僕の嫌な予感通り空間の1点が揺らめき、光学迷彩機能の付いた銀色の戦闘服に身を固めたオベロンが姿を現した。
「……え~と。お疲れ様?」
「何をとぼけた事を申しておる! おぬし、このタイミングで【異世界転移】とはどういう了見じゃ!?」
そうだった。
こいつ、僕が【異世界転移】すれば問答無用で僕と一緒に世界の壁を越えて、同じ地点へと“転移”するんだった。
という事は……
「
「大丈夫なわけ無かろう! ようやく
慌てて再度【異世界転移】でアパートの部屋に戻ってきた僕は、右耳に装着した『ティーナの無線機』を使って呼びかけた。
「ティーナ!」
すぐに囁きが返ってきた。
『あら? どうしたの?』
「ごめん! 困っているよね?」
『困る? 何が?』
あれ?
「いや、オベロン。急に消えたでしょ?」
『ああ、消えたわね』
なぜか全然緊迫した様子が感じられない。
「だからびっくりしたでしょ? それに困っているんじゃないかって……」
『困ってないわよ。それに消えたのはTakashiが【異世界転移】して、それについていったせいだと思ったんだけど。違うの?』
「いや、違わないけど……」
あれれ?
ティーナさんの(僕としては)予想外の反応に首を
「タカシよ! 向こうはパニックになっておるのじゃろ!? とりあえず偉大なる精霊王たる
え~と……
少しばかり混乱していると、無線機を通してティーナさんの囁きが聞こえてきた。
『OBERONについてきてもらったのは、途中の道案内のためよ? もう地下施設に侵入しちゃっているし、
「つまりオベロンは……」
『別にいなくても全然困らないから安心して』
ティーナさんとの会話を終え、
内容をオベロンに伝え、
当然ながら“いらない子”扱いされた形になってむくれるオベロンをなんとか
結局、仕切り直してトゥマに【異世界転移】するまで、さらに数分程時間を浪費してしまう事になった。
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