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第354話 F級の僕は、落ちているかもしれないMP回復ポーションを探す事にする
第354話 F級の僕は、落ちているかもしれないMP回復ポーションを探す事にする
6月15日 月曜日12
宿を出て、来た道を引き返しながら歩いて行くと、視線の先、街の外へと続く城門付近に、大勢の人々が集まっているのが見えてきた。
僕等に気付いたらしい何人かが、こちらに視線を向けながら声を上げた。
「勇士殿が戻って来たぞ!」
彼等の中から二人の人物がこちらに向けて駆けて来た。
それはターリ・ナハとアルラトゥであった。
「お帰りなさい」
笑顔で出迎えてくれたターリ・ナハにたずねてみた。
「あれは?」
「城壁の外に残るモンスターの総数が、先程100体を切りました。彼等に対する総攻撃が行われる事になり、それに参加する冒険者や兵士達が集められているところです」
僕が召喚門を破壊してからまだ40分程しか経過していないはず。
そんな短い間に数千いたモンスターがわずか100体まで減少とは、展開が早過ぎる気がしないでもないけれど。
「とりあえず、街の外の様子を確認してみよう」
僕はララノア、ターリ・ナハ、そしてアルラトゥと一緒に城壁の上、ユーリヤさん達がいる場所へと向かった。
城壁の上に出た僕は、街の外の情景に目を疑った。
街の外、雲霞の如く満ちていたはずのモンスター達は、数十体程にまで数を減らしていた。
彼等に、もはや街を攻撃してくる様子は見られなかった。
同種のモンスター同士が身を寄せ合い、他種のモンスターの小集団とはかなりの距離を取り、互いに所在無げにうろつくのみ。
思わず足を止めてその様子に見入っていると、後ろから声を掛けられた。
「タカシ殿」
振り返ると、笑顔のユーリヤさんが立っていた。
「ただいま戻りました。総攻撃を予定されているとお聞きましたが」
ユーリヤさんが頷いた。
「今こそモンスターを殲滅し、この街の勝利を確実にする時と判断しました」
僕は街の外、あの召喚門があった方向に視線を向けた。
視線の先、小さく
彼等は、他のモンスター達とは別格に感じられる。
彼等の放つ白い力の奔流は、せっかくここまで生き残った冒険者や兵士達の命を容易に刈り取るだろう。
ならば……
「僕も参加させて下さい」
僕の言葉を聞いたユーリヤさんが頭を下げてきた。
「ありがとうございます」
彼女もまた、あの4体の地竜達に視線を向けていた。
「彼等をこの場所から1km以内に誘引して頂ければ、私の
「分かりました。僕だけでは斃せそうに無かった時は、お願いします」
僕は傍に立つララノア、ターリ・ナハ、そしてアルラトゥ達にたずねてみた。
「あの地竜に関して何か分かる事、無いかな? レベルとか能力とか」
アルラトゥが口を開いた。
「あれはブラックサラタンでございます。レベルは103。魔法は使用致しませんが、口から放射するブレス攻撃が非常に強力なモンスターでございます。物理耐性は80%を越えておりますので、斃すのであれば、魔法攻撃一択になるかと愚考致します」
レベル103!
しかし、どうやって斃そう?
魔法攻撃と言えば、今手元に魔導電磁投射銃があるけれど……
と、その前に。
僕はアルラトゥに問いかけた。
「詳しいね? ブラックサラタンとは戦った事あるの?」
アルラトゥが
「10年程前、属州モエシア南境、魔の森よりブラックサラタンが這い出して参りまして、辺境の村が襲撃された事がございました。
本当の話だろうか?
僕はチラっとララノアに視線を向けた。
しかし彼女に何か変わった様子は見られない。
もっとも彼女は、2年前、13歳の時にグレーブ=ヴォルコフ、つまり州総督に戦闘奴隷として召し上げられた、と
10年前の出来事の真偽については判断しようが無いのかもしれない。
僕は自分のステータスを呼び出してみた。
―――ピロン♪
Lv.105
名前
性別 男性
年齢 20歳
筋力 1 (+104、+52)
知恵 1 (+104、+52)
耐久 1 (+104、+52)
魔防 0 (+104、+52)
会心 0 (+104、+52)
回避 0 (+104、+52)
HP 10 (+1040、+520)
MP 0 (+104、+52、+10)
使用可能な魔法 無し
スキル 【異世界転移】【言語変換】【改竄】【剣術】【格闘術】【威圧】【看破】【影分身】【隠密】【スリ】【弓術】【置換】
装備 ボティスの大剣(攻撃+320)
エレンのバンダナ (防御+50)
インベントリの指輪
月の指輪
効果 1秒ごとにMP1自動回復 (エレンのバンダナ)
ステータス常に50%上昇 (エレンの祝福)
即死無効 (エレンの祝福)
MP10%上昇 (月の指輪)
当然ながらカロンの小瓶の効果は消えている。
ついでに、アルラトゥが付与してくれていたMP{+2000}も効果が切れてしまったようだ。
今の状態でブラックサラタン4体と戦うには、やはりMP回復ポーションが必要だ。
そう言えば、押し寄せて来たモンスター達の中に、レイスがいたな……
僕は、再び三人にたずねてみた。
「モンスターの同士討ちで死んだ場合って、アイテム、ドロップするのかな?」
「残念ながら、魔石は残りますが、アイテムはドロップ致しません」
アルラトゥが申し訳無さそうに答えてくれた。
しかし僕等が関与して斃したモンスターも、千体を越える、とユーリヤさんは話していた。
という事は、街の外、それなりの数のアイテムが落ちているはず。
「落ちているアイテム、見つけ出すの得意な人っている?」
意外な事に、ターリ・ナハが言葉を返してきた。
「私ならお手伝い出来るかと」
「そういうスキルか魔法を持っている、とか?」
「いいえ」
ターリ・ナハがにっこり微笑んだ。
「私にはこの二つの目があります。遮蔽物が無ければ、500m先に落ちている縫い針も見逃す事はありません」
それは凄い!
獣人特有の能力であろうか?
思い返せば、彼女は遥か彼方のモンスターの姿をはっきりと視認する事が
「じゃあ、ターリ・ナハにお願いしようかな」
「もしかして見つけ出すのは、月の雫か女神の雫、でしょうか?」
さすがはターリ・ナハだ。
頭の回転が速い。
「うん。現状、僕が使える魔法攻撃って、この魔導電磁投射銃一択だからね。MP回復ポーションを拾えるだけ拾い集めて、がぶ飲みしながら、遠くから
他にもMP消費して発動するスキルを持っているから、MP回復ポーションはあればあるほど助かる。
僕は改めて三人に話しかけた。
「
「私達をここに残すというご判断の理由、お聞かせ頂けないでしょうか?」
「わ……私も……お供……」
レベル50以下に制限されているはずのララノアの攻撃魔法は、レベル103のブラックサラタンにはそう効果的では無いだろう。
それにアルラトゥの防御結界も、ブラックサラタンの
だけどそれを正直に伝えるのは、さすがに彼女達を傷付けてしまう気がする。
「とりあえず、ターリ・ナハにMP回復ポーション集めを手伝ってもらったら、後は少し考えがあるからさ。ここは僕に任せてくれないかな?」
「かしこまりました」
アルラトゥはすんなり納得してくれた。
しかし……
「で、ですが……お、お供……魔法で……」
ララノアがなおもごねた。
彼女的には、“ご主人様”が戦いの場に赴くのに、戦闘奴隷たる自分が城壁の中に留まるなんて有り得ない、とでも思っているのだろう。
「ララノア、いいかな?」
僕はララノアだけを連れて、少し離れた場所に移動した。
彼女に、ここに留まって当然と思えるような理由付けをしてあげないといけない。
少し考えた僕は、彼女の耳元で囁いた。
「君には、アルラトゥを監視してもらいたいんだ」
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