小説投稿サイト。カクヨムを選んだわけ

百一 里優

第1話 小説投稿サイト。カクヨムを選んだわけ


ちょっと前(2018年8〜9月ごろ)に、自分のWebページ(momoiriyu.com)を立ち上げるとともに、小説投稿サイトに自作の小説を公開し始めた。


最初は右も左もわからず、ネットで調べて、確かとりあえず、『小説家になろう』と『エブリスタ』で連載を始めた(連載といってもすでに書きあがった作品だが)。『カクヨム』は、どういうわけかたまたまその少し前に通勤に使っていた都営浅草線の車両の窓ガラスに広告が貼ってあって、それで知った。


それで三つのサイトで並行して同じ作品(第1作は『森の図書室、カザルスの夜』)を同じタイミングで公開するようになった。


開始当初、一番気に入っていたのは『小説家になろう』だった。その理由は他のサイトと比較して圧倒的にPVが多いから。『エブリスタ』と『カクヨム』はどうも反応が鈍く、まあほとんど読んでもらえない。


どちらかというと文芸寄りの作品だから、登録者に対する対象となる読者の比率はかなり低いのだろう。それでも『小説家になろう』は新しい話を載せるたびにそれなりに反応(PV数)があった。登録者数が多いことももちろんその理由の一つではあろう。


続編となる2作目(『ハルの森』)についても同様で、それなりに手応えがあったのは『小説家になろう』。『エブリスタ』がそれに次いで、『カクヨム』は「う〜ん」という感じ。ほとんど読んでもらえていない印象だった。


ただし、Webページの作りが一番好きだったのは『カクヨム』だった。小説家になろうはPDFにすればある程度読みやすいが、Webだといまいち。『エブリスタ』は1ページ当たりの表示文字数が少なく、1話当たり五千〜一万文字ある僕の小説ではぶつぎれになって、なんとも読みにくい。


その点、『カクヨム』は、表示がきれいだし、縦組みと横組みの切り替えもスムーズにできる(自分の作品は縦組み推奨なのだ)。他の人の作品も僕的には読みやすい。ちなみに執筆の主な使用デバイスは MacBook Air (11-inch) で、推敲や『カクヨム』の読書には iPhone7 も使っている。


『小説家になろう』はPVは伸びるのだが(あくまでも相対的に)、一方で読者からの反応が薄い。たとえば、ある日、突然、すべての章が読まれている(らしい)——『小説家になろう』はその日にどの章が読まれたかが二日後にわかる——ことがあっても、感想などはほぼ書き込まれない。


一方で『カクヨム』は章(話)ごとに、応援をしたり、感想を書き込めるし、全体の評価もでき、それがわりと利用されていて、PV自体はさほど多くはないのだが、反応の数そのものは少なくても、より具体的な手応えがある。


それと『カクヨム』は自主企画が充実している。気楽に企画を出すこともできるし、他の人の企画にも参加しやすい。企画の当たり外れはあるにせよ、そこで他の人のおもしろい作品に出会えたり、自分の作品を読んでもらう機会も確実に増える。


そういうわけで、Webでの小説の投稿は、『カクヨム』を中心にやっていこうかなと思っている。


【追記1】

これは『カクヨム』に限らず、小説投稿サイト全般に言えることなのかもしれないが、提供されるジャンル分けがいまひとつ、自分の作品にぴったりくるものがない。



【追記2】

最近(2020年2月か3月)、ステキブンゲイという、文芸小説に特化したサイトができた。浮気して、すでに公開してある作品を投稿してみた。でも、いまのところ(2020年5月15日現在)、あまり読まれた形跡はない。


トップページには、サイトのトピックの他に、「ピックアップ・ブンゲイ」、「人気のブンゲイ」、「最新のブンゲイ」の3つについて作品名と概要の一部が表示される。


まだ登録者が少ないせいか、投稿してしばらく(時間帯によるけど1時間程度かな)は、「最新のブンゲイ」に表示されている。「ピックアップ・ブンゲイ」の欄に取り上げられたこともある。でも結局、PVは伸びていない。


絶対的な読者数の少なさと、自分の作品をアピールできる場のないことが、そういう結果になっていると考えている。



【追記3】

僕はプロの小説家を目指している。趣味で書いているのではない。


Twetterで知り合ったプロの小説家に自分の作品を紹介する機会があって、忙しい中、少しだけ読んでいただいた(たぶん『森の図書室、カザルスの夜』)。


ある程度評価はしていただいたようだが、結論としては、冗長で読者を惹きつける魅力に欠ける、というやや手厳しいものであった。また全体の分量を意識して書くべきであるとも。なにより打ちのめされたのは、「プロではなく、趣味で書いているのだから、楽しめばいい」と書かれていたこと。

(誤解のないように言っておくと、すごく親身になって、愛に溢れる批評をしてくださっていました。ありがとうございました)


その時点ではプロを目指しているとは告げていなかったので、掲載場所として小説投稿サイトを紹介していたし、そう言われても仕方ないのかもしれないけれど、それでも作品として、プロになるには値しないと言われたような気がして、かなり凹んだ。確かに『森の図書室、〜』は、初めての作品ということもあって、特に冒頭の数話は読者にちゃんと伝わらないことを恐れて、書き込みすぎているきらいがあることも事実だから、さすがにプロの方の目は違うのだなと納得もした。


でも少し気分が持ち直したところで、冷静に考えてみると、やはり小説投稿サイトに掲載しているだけでは、趣味の域を出ないのだということ。もちろん中には編集者に見出される作品・作者もあるようだが、たぶんそれはあくまでも異世界系とかラノベとか、商売として成り立ちやすい分野がほとんどだろう。


それで何をすべきかと考えた。そして、小説投稿サイトで読者を増やすことも悪くはないけれど、プロを目指すのであれば、それなりの新人賞に応募するべきであるという結論に至った。ある程度小説のタイプが絞られ、分量も決められている。その中で、自分の世界を描き切るということが大事なのではないか、と考えている次第である。



【追記4】


追記3にプロの小説家に読んでもらったと書いた。実はこの人以外にもプロの小説家に『森の図書室、カザルスの夜』を連載途中(手元では完成)で読んでもらった。こちらは家族の同僚の知り合いだ。追記3の方はどちらかというと新人に近い方で、こちらの人は既に何作も出版されていて、テレビドラマ化もされているなど中堅の作家だ。


どちらかというと、この方の人の方が評価は高くて、「完成されれば作品として十分に成立する」との言葉をいただいた(すでに完成されていることはわかっているような感じだった)。


追記3の小説家の方には、要は世界に入っていけないということを言われたわけだが、こちらの小説家は結構スラスラと負担にならずに読んでいただけた様子。


まあ、結局は、読者の好みによって読まれ方はずいぶん違うものなのだなという話です。それは自分のことを振り返れば、当たり前にそうですよね。売れていても、好みに合わなければつまらないと感じるし、マイナーでも面白いものは面白い。


(2020年5月28日誤字等修正)

(2021年1月3日:追記4を追加)

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