第3話 平凡(ガーベラ)
さっきの先生は、一体誰なのだろうか。どの学年を担当しているのだろうか。いやもしかしたら担任などは持っていないかもしれない。何故か。朝の出来事が、頭から、離れない。今まで生きてきた15年間であんなに正論を言われたのは、後にも先にも初めてだ。きっと自分は今落ち込んでいるのかもしれない。少しの驚きとなんであんなにも真剣なんだろうと思い少し、動揺しているに違いない。そう、ぶつぶつ頭の中で声に出していると、教室の前にいた。扉を開けると、ブレザーに桜のブローチを付けてもらおうと列ができていた。
「おはようございます。あなた到着ギリギリね。電車でも止まってた?」と背の高い女性が声をかけてきた。
「すみません。指導を受けていて遅れてしまいました。」
「指導?誰に。」
誰だかわからないから、説明のしようもないのになと思っていたが、そう伝えてもきっと何も伝わらないだろう。そう考えて私はこう伝えた。
「名前はわからなくて。でも指導を受けたことには変わりないので。すみません。」
「そうなのね。でも今は入学式に出席するわよ。」
「はい。」
そうして、よく聞く、ありきたりなあの音楽が体育館全体を包み込み入学式の幕は開け、高校一年の生活が始まった。
アイビー。 永山愛衣 @chiichan
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