第11話 二人きりの二日間

 俺は作戦会議をするために紗耶香さやかの家に呼び出された。


 「俺らの予想どうり火星側が行動を起こしてきたな。」

 「でも、一番厄介なのは私たちが予想していたよりも強い脅しをかけてきたことよ。」

 「確かに今回の一件で地球の団結力は高まっても、危険性は上がるな。ゆっくり作戦を進めてもよかったが、迅速に進める必要性が出てきたみたいだ。」


 


 俺ら地球の小さい反乱に対してすぐには武力を使った脅しをしないと思ったのだが、相手は思ったより早く強硬策に出てきた。


 しかし言い換えれば火星側が強硬策に出なければならないほど今回の反乱が危険視されているということだ。


 「受験も近づいてきたことだから受験勉強もし始めないといけないし第一、学校だけで集まってでは効率が悪すぎるわ。」


 確かにそうだが、これに関しては解決のしようがない。時間の問題はどうにもできない。


 ありえないが、一つだけ解決策があるとすればどっちかの家に泊まり込むしか……


 「私の家で二日間勉強合宿を行いましょう!」


 一番解決策としてあり得ない言葉を紗耶香は言った。俺が気まず過ぎる。


 「誤解しないでね。あなたとお泊りをしたいのではなくて、作戦を効率的に進めないと、時間がないのよ。」

 「誤解なんかしてねーよ。いつから二日だ?」


 変な反応をすると、紗耶香になんて思われるかわからないので、俺は精一杯隠しながら聞いた。


 「もちろん明日からよ。話聞いてた? 。」


 そう押し切られて、ろくに反論できずに翌日を迎えてしまった。一応、一日分の服と、パジャマとPC、タブレット、絶対に使わないであろう参考書を鞄に詰めて出発した。



 「ちゃんと来てくれたのね。」

 

 少し早めに行くと、家の前には紗耶香がまってくれていた。


 「来いっていたのはそっちだろ。」

 「まぁね。ちなみにたまたま今日から母が友達と一泊二日旅行に行ったからずっと家に母はいないわ。だからって変な気、起こさないでよね」

 「わかってるって。」


 親のいない家には過去に連れられたことはあるが、お泊りとなるとまた違った感情を持つ。


 好きな人と二日間二人きりとは心臓と理性に悪い気がするが、相手がそんな感情を持ってないと思われる以上平和にこの二日間を過ごしきるしかないのだ。


 “俺の理性よ耐えてくれ。”


 そう自分に言い聞かせながら二日間の勉強合宿おとまりかいが始まったのだ。


 「荷物は私の部屋の隅にまとめておいて。あなたはベッドで寝て頂戴。わたしは床で寝るから。」

 「なんでだよ。家主の紗耶香がベッドで寝たらいいじゃねーか。」


 この時少し口調がきつくなってしまったのは怒っているからではなく、緊張感と、動揺が合わさったからだった。女の子の部屋には紗耶香との作戦会議で何回か入ったことがあるが、これから寝食を共にするんだと思うと、いつもと違う感覚になる。


 「私がベッドで寝たら床で寝ているあなたの上に落ちてくるけどいいの?」

 「それなら仕方がないな。」

 「じゃあさっさと作戦の話をしましょう。」

 「あぁ。」

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