第12話 お風呂の時間
「昨日、警備型ロボットの写真がネット上に上がっていたのでSNSで拡散しておいた。それと、私たちのアカウントに来た火星側からの返信も世界中に多言語で拡散ししておいたわ。」
「この写真を見た人々がどんな反応をするか気になっていたけど、いい反応を示してくれているっぽいわ。」
紗耶香が言うには警備型ロボットの写真を見た多くの人々が今の地球の技術と比較して、火星側はもっと上をいっていることに実感がわいているらしい。
「確かにそれならこれから民衆を動かすのが楽かもしれない。でも、この様子を見ているとどうも火星側は平和的に、移住権を解決する気がないように見えるな。」
「そうね。でも、この計画を始めた以上止めるわけにはいかないわ。」
「うん。」
そんなことを言いながら勉強合宿という名の作戦会議が進んでいった。
結局作戦会議なんかすぐに終わり、使うことはないと思っていた参考書を使うことになった。
そんなこんなしているうちに夜になり、コンビニでご飯を買ってきて食べた。
ここは紗耶香が作ってくれるのがテンプレだろうと思ったが、黙っておこう。変に何か言ったら紗耶香に変に意識していることがばれてしまう。それだけは避けたい。
「私からお風呂入るけどのぞかないでよね。」
「そんなこと言われなくてもしねーよ。」
「本当に?」
そんなやりとりをしながら紗耶香は洗面所に行き服を脱ぎ始めた。洗面所にはドアは付いていず、静かにしていれば音が聞こえてくる。
空間に服を脱ぎ進める音がする。
「もしかして、夏彦音聞こえてるんじゃないの? 恥ずかしい。変な妄想したら後で一発殴るからね。」
「だからしてねーって。」
口ではそう言いながらも俺もいい年ごろだ。妄想する気がなくても勝手にしてしまう。こっちの方が恥ずかしいってんだよ。
変な妄想した後で紗耶香にどんな顔してあったらいいかわからないので、俺はイヤホンで音楽を聴きながら少し寝ることにした。
「……つひこー。なつひこー。
「あっ、やっと起きた。風呂あがったからお次そうぞ。」
どうやら俺は紗耶香が風呂に入っている間、変な妄想をしないことに成功したらしい。
「ありがとさん。入らせてもらうよ。」
俺は洗面所に行き、服を脱いだ。音が響いていくのが分かった。紗耶香の気持ちが今なら少し理解できる気がする。
「お前こそ変な妄想するなよ。」
「私はあんたと違って変態じゃないし。」
会話が終わるとほぼ同時に脱ぎ終わり風呂に入った。
知ってる匂いだ。
いつもの紗耶香のにおいだからだろうか。
いや違う。
じゃあどこで嗅いだことがあるんだろう……
次にもっと大変なことに気が付いた。
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