第2話
こんな定番な展開ある!?酷くない!?クエスト来るならなんか武器ちょうだいよ!
「どうしよう星夜。終わったね。」
私は崖から下を覗いて顔を青ざめながら言った。
「だな。せめて後から来る人と言葉が通じればいいけどな。」
星夜はこともなげにそう言った。
「なんでそんなに落ち着いてられんの!?」
「いやもう騒いでもしょうがなくね?」
「そう言われればそうだけど……」
そう私が言ったとき私のすぐそばを水色?の光がかすめていった。
「ヒャァ!?」
「おぁ!?」
何だったのだろうあれ。…あ!さっきの詠唱のやつか。私の知識から言うと
あれは水属性だ。賭けてもいい。
「おい!そこに誰かいるのか?いるのなら出てこい。こっちは五十人だ。
こちらはクルシャニカ聖王国である!」
誰かが私たちに向かって怒鳴ってきた。聞こえてくる言語は日本語だ。
まぁなんか私たちの知らない国なのかな?まぁ話し合いはできるみたいだ。
「あの、ここです。ここに二人います。あー、闘う気はありません。
なので話し合いできませんか?」
星夜は、そう大人びた返答をした。私なんてもうパニックでいっぱいいっぱいだったのに。
…なんか恥ずかしい。自分の馬鹿さ加減をもう一度実感したわ。
「二人だと!?どう見てもあの火属性の魔法は10人がかりのものだったぞ!きちんと出てこい!
嘘ついてたらわかってるな?」
ヒィィ。やっぱり私のなんかやっちゃったやつが原因じゃん!……ちょまって今このおじさん(今おじさんが目の前に立っています)魔法って言った?それも火属性の。言ったよね?
「本当に二人です。なんなら調べてくださいよ。なんなんですか?」
星夜そう怒るなって。今私の機嫌は最高潮なんだから。だって今このおじさん魔法って言ったんだよ?夢の魔法、憧れてた魔法!
「…そこまで言うなら嘘ではないのだろう。とりあえず手を縛れ。おい!クルース。縄でこいつらの手を縛れ。」
なんだと〜。そこまでのことなのか?わたしゃ犯罪者扱いかよ。
…うっわ、すごい目で星夜が睨んでくる。ごめんって。
「その、なにかしてしまったならごめんなさい。私たちは、ただのコウコウセイで……」
ん?なんか高校生が変な響きになったぞ?カタカナみたいな……
「コウコウセイ?そりゃなんだ?新しい犯罪組織か?」
やばい。やった。どうしよう。
「あの、ここはどこでしょう?一体。」
とりあえず話をそらそう。
「はぁ?大丈夫か?ここはクルシャニカ聖王国。今は、セザンカ女王様が治めてらっしゃる。
それよりなんでお前らみたいな年頃のやつが二人でほっつき歩いてんだ?旅人か?」
「その……親が旅人で私たちもそれについて行ってたんですけど、先日亡くなって。で、ちょっと知り合いがいるとか聞いてたこの国に向かおうとしてたんですけど…」
するりと星夜が嘘をついた。私は何も言わないでおこう。魔法のことを考えていよう。うん。
「そうなのか。まぁそういう奴もいるとは聞いてるが。しっかし、旅人であそこまで魔法が使えるとは。どんな生活してたんだ?普通、魔法は習わないとできないものだし個人差が大きくでる。正直怖いぞ。」
「あれって、魔法なんですか?初めてで、」
あ!思わず口挟んじゃったじゃん。ダメだってさっき自分に言い聞かせてたのに。
あー本当私ってバカ。
「魔法だ。小さな魔法なら誰にでも使えるが、あんな攻撃魔法は使えるやつなんてそうそういない。」
「そうなんですか。ちょっと知れて良かったです。…あの、今私たちは親なしの孤児なんですけど、どうすればいいでしょうか。その、知り合いって言ってた人も旅人だって聞いてたんです。」
「あー…お前ら今何歳だ?」
「15です。」
「そうか…丁度魔法学習院の入学年齢だな…。さっきの魔法ってどっちが出したんだ?」
「私です。」
私は食い気味に答えた。
「そっちか…。あー、俺の独断じゃなんともできないが、女王様に頼んでみるか。おい名はなんという?ちなみに俺はイチラス。イチラス・ラン・ザールだ。」
ど、どうしよう西洋風の名前だったよ。私の勝手な中二病知識でつけていいかな?
「私は、サリナ、こっちのはスルイロ。」
ごめん勝手に名前つけて。でもかっこいいからいいでしょ。ちゃんと由来も本名からにしてるから!
「そうか。いい名前だな。ちなみに下の名前はあるか?旅人だとないもんなのか?」
し、下の名前だと〜!?つけてしまったほうが楽なのかな。どうだろうか。
「下の名前、あの、あまり言われてなかったから分からないけれど、多分ヒャヤルサ。俺たち兄妹だから。」
「カッケー名前だな。まあいいや。おいクルース。こいつらの手の縄取ってやれ。」
お!取ってくれるのか有難い。
私たちはイチラスさんたちについて行くことになった。ここクルシャニカ聖王国はもともと荒地だったが初代王クルシャニカが魔法で緑豊かな土地に変え、発展していったという事。たぶんここは異世界だという事、魔法が使える事、そして私の魔力は強いらしい事。星夜改めスルイロはそこまでの魔力を持ってないが、抜群にいい頭脳を活かして王政の手伝いをできるらしい事。また、この国の他にもエルフ族やサラマンダー族、水妖精族などの国がある事。ここまで聞いてもう私は有頂天だった。でも少し寂しかった。
「ここはもう地球じゃないのかな…」
私は少し弱音を吐いてしまった。
「多分な。なんで俺らがここに来たのかの理由が知りたいな。」
「それは私も思う。もう家族にも会えないのかな。戻る方法ってないのな…。」
「それも調べたいな。さやかは学校に行けるみたいだからそこで調べてみるか?きちんと授業を受けていればそういう類のものも受けられるだろ。」
「うん。ちゃんと受ける。だってすっごく今嬉しいもの。得意で好きなものを習えるならきちんと受けるさ!」
星夜は強いな。憧れるわ。一緒にいて本当頼もしい。
「そういえば、勝手に名前作っちゃったけどいい?」
「まぁ響きがかっこいいから良しとするよ。こっちも勝手に苗字作ったし。二人の名字からとってきた。」
「うん。それはわかった。それより勝手に血のつながりを作ったね?」
「そっちの方が説明が楽で…」
「…まあいいや。」
この時星夜が赤くなってたことは言わずにおこう。ちょっと私も嬉しかったし。
とある世界で世界を救う?! きりたにくるみ @kiritanikurumi
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