abrd+13年

手元が震えている。私の中で崩れてゆくものがある。その実体をつかもうとしたら私は恐らく私としての根幹を失うだろうとも感ずる。これ以上探ることはしない。


備忘録を手元に置く。今日も配給された少しばかりのパンを片手に再び元いた場所に戻り、スマホをみる。SNSでは言論の自由を巡る投稿が皮肉にも運営によって消され、炎上している。数週間はずっと燃え上がっている。人々の意見を自分なりに解釈しながら眺めていると、不意に家族を失った苦しみを嘆く投稿が目に入り、心臓が大きく脈を打つ。今日も一切の情報が開示されないままだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

君の居る街の人々の投稿を見た。


「ばおわ」


「こいつほんま草」


「おやすみ」


「ミスったー、死にたい」


私は安堵の溜息をついた。



どうか君はこの街に戻ってこないことを祈る。

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