ROUTE11 「かたみさきどうぶつびょういん」へ行こう!

「かたみさきどうぶつびょういん」。「みゆりちゃん」と、「おりがくん」って人が、今そこへ行ってるんだって。


 かいくんとその「びょういん」へ近づくにつれて、だんだんいやーな感じがし始めた。前もかいだことがあるにおいなんだ。たくさんの、動物たちのにおい。ほかの場所ではかいだことがない、たくさんのふしぎなにおい。


 そのにおいをかぐときは、なんだか嫌がってる動物たちのにおいも一緒になってることが多くて、だからぼくもこのにおいがあまり好きじゃない。


『ケンタ、そんなに怖がらなくていい』


 くろづるさんが、しっぽを下げて尻込みしてるぼくをなぐさめてくれた。


『このにおいの中にいるのは、動物たちを元気にしてくれる人間たちだ。

 病気や怪我をした動物たちは、まあほんのちょっと痛い思いをすることもあるが、そういった人間の世話にならないと元気になれないことが多い。

 それに、今のケンタは霊だから、甲斐以外の人間には見えない。つまり、ケンタを痛い目に遭わせるやつはいない』


 そっかー。ぼくは痛くないのか。よかったー。


 ……あれ。


「ケンタ、どうした? まだ行きたくないの?」


 ぼくはかいくんを見上げた。どうしよう。


 ぼく、「痛い目」にあっちゃった誰かを知ってる。


 その誰かが、ぼくを助けてくれたんだってことも。


 思い出したよ。この「びょういん」のにおいの中に、その誰かのにおいがある!


「ケンタ!」


 ぼくはかいくんより先に前へ飛び出した。「びょういん」のたてものは、すぐにわかった。でもどうやって入るのかわからなくてうろうろしてたら、かいくんがぼくを抱え上げてそこに立った。入り口が開いて、ぼくとかいくんは中に入った。


 においが、ますます強くなった。


 ボクを助けてくれた、誰かのにおい。それから知らない人のにおい。


 もうひとつ、知ってる人のにおい。


 ぼくがずっと捜してたにおい。ぼくをとっても可愛がってくれた、なつかしいにおい。


 こっちをふりかえったのは、間違いなく「みゆりちゃん」だった。



●・○・●・○・●・○・●・○・●・○


つぎは

⇒ROUTE14 ケンタが消えちゃった!

https://kakuyomu.jp/works/1177354054897049162/episodes/1177354054897258478

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