やる気なしバレーボール部員の不満は募っていく

ヘイ

弱小バレーボール部の部員の話

 バレーボールが好きだった。

 ただ、それは真面目な理由でもなくて、ラリーが続く膠着状態が好きだった。

 まあ、バドミントンでもラリーを続けるのが好きだったから俺はそう言う性格なんだろう。

 対人練習は五十回以上繋がると、絶対に落とさないとかそんなこんなで楽しくなる。

 床にボールが落ちない、永遠に続くかのような時間が好きだった。別に勝ちたいというわけでもない。そもそもにしてチームプレーが苦手な俺にはどうにも勝てない。

 ただ、友達だとか、仲のいい奴だとかと一緒にプレーをしていればテンションが上がって、これは絶対に落としたくないと感じてしまうものだったりする。

 何より楽しいのは、ベンチチームとレギュラーチームでの試合形式の練習で、完膚なきまでにレギュラーチームを負かして、監督に怒られる光景を見るのが好きだった。

 それはもう楽しいったらありゃしない。いつも俺を見下す先輩一人の為に、俺はそんなことをしていた。

 それこそ、お前じゃ勝てない。お前みたいな自分がなんとかするとか考える奴には勝てない。と言うように。

 俺の入っていた部活の基本的なスターティングメンバーは酷いものだった。誰だって同じ方向を見ていない。そこにチームワークなんてありはしない。

 楽しいと思いながらやれるチームの方がきっと勝率は高かったはずだ。だが、残念ながら、楽しいと思ってプレイできるチームは個人の能力が高くない。

 俺はチームメンバーに恵まれない……なんて言うつもりはない。誰もが恵まれていなかった。中学時代、俺と同年代のやつはキャプテンとしてそこまで能力が高くなかった。言っては悪いとは思うのだが、彼はまとめ“よう”とした。まとめあげることは“できなかった”。

 こんなことを俺はずっと思っていたわけだ。

 そいつは無理やりにチームを括ろうとした。だから、失敗した。真摯な態度が足りなかった。だって彼は向き合おうとしなかったから。勝ちたいと言う意識を確かめず、どうしたいと言う思いも考えず、彼は一人で突っ走って負けた。

 誰もが別の方向を見ていたところをバレーボール部という大きな輪で括って仕舞えばそうなることなんて想像できる。

 俺の一応は真面目なバレーボールもそこで終わった。高校に入ってから、俺はバレーボール部に入る気は全くなかったのだが、色々あって入ることになった。

 そこで再会だとか、新しい出会いとか色々あったのだが、苦い思い出ばかりで溢れている。気の合う奴とやっていれば楽しいが、気の合わないやつはつまらない。

 副キャプテンのリベロになった同学年の奴がいた。どうにも俺はコイツが苦手だった。自信過剰、反省はするが変わらない。技術的進歩は俺の教えた一年生の頃で止まっている。

 だと言うのに、副キャプテンだからという理由でそいつは試合に出ていた。

「何で、アイツが試合出てんだよ……」

 俺はそいつよりもレシーブのうまい、もう一人のリベロに愚痴った。

「お前の方が上手いじゃん」

 それに彼のほうが俺は仲が良くて、調子だとかテンションも上がってくる。そもそも副キャプテンとしてそいつは活躍できないだろう。

 ちなみに俺も副キャプテンになろうとしたら、すぐキレるからという理由で、俺は却下された。それもそうだなと納得したが、腹立たしいことがあった。

 キャプテンを決めろと言われて、話し合いになった。結局多数決を取ったのだが、多数決が参考にならず、多数票を取った三人が集まって彼らの話し合いで決めた。

 それに対して俺は友人(リベロとは別の)に文句のような愚痴を吐いた。

「こんなことに時間かけて、人の意見とか無視する奴らにキャプテンとかチーム率いることできるわけねぇじゃん」

 多分こんな感じだった気がする。

 そう言うと友人も、「ウチの親もそう言ってた」といい、だよなと呆れたものだ。ただ、彼らは、と言うよりも、俺ら以外のほとんど全ての人は賛成だったみたいで、なんかバカらしくなって色々言うのもやめた。

 きっと多くの親もそう思っていたと思う。多数決で決めたのに責任逃れするとか、それじゃ意味ないだろって。

 だから、俺のやる気もなくなってしまうわけだ。

 キャプテンはチームを率いるか?

 そう言われても、キャプテンはチームを率いないと言うのが俺の答えだった。形だけのキャプテン。

 俺は、いや、俺たちはキャプテン選びに失敗したと言うわけだ。

 

 

***


 

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やる気なしバレーボール部員の不満は募っていく ヘイ @Hei767

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