第6話 もらった宇宙船を見に行く前に
きょうの朝食は、近頃はやりのシリアルに牛乳をかけたもので済ませた。数種類のドライフルーツの甘さがうれしい。
食後、しばらくしてアインさんからもらったカードをスマホのように使い連絡する。
「アインさん? 山田です」
「おはようございます。アインです」
「おはようございます。きのうの『
「ご苦労さまです。申し訳ありませんが当面一千万円を現金でご用意いただけますか? 山田さんがアギラカナに滞在するにあたって必要な食材などを購入する予定です。現金が用意できましたら、またお呼びください。受け取りにまいります。
実は、数日前から山田さんに対して、われわれの警護班が二四時間体制で警護に当たっています。 盗難、事故等の心配はありませんのでご安心ください。例え、大型旅客機が山田さんのマンションに墜落しても山田さんの部屋と山田さんは無傷でお守りできます。
あと、残った延べ棒はお好きにお使いください。山田さんの方でそれ以上に必要でしたらおっしゃってください。1トン程度の『
アインさんで
あと、1トンも『
「そうですか。わかりました。それじゃあ午前中に銀行に行って現金を用意しますから、正午頃にでも
その後、銀行に行って用事を済ませて正午。銀行ではおろした一千万円を何に使うのかしつこく聞かれたので外車を現金で買うと言ってやった。しつこく用途を聞くのは振り込め詐欺対策らしい。俺はまだそんなに簡単に
紙テープでまとめられた百万円の束が十束。その十束がさらに紙テープでまとめられて、でん! とダイニングテーブルの上に置かれている。百万円の束を束ねた紙テープの真ん中には
「それではアインさん。これが、一千万円です。枚数は数えてませんが多分千枚あると思います」
アインさんは、その一千万円のお札の塊を、片手で持ち上げ一瞥。
「ありがとうございます。ちょうど千枚の一万円札を確認しました」
目視だけでわかるらしい。まあ、にわか超人の俺なんかよりよっぽどすごそうだものな。
アインさんはそのまま、お札の塊を例のカバンに無造作に放り込み、
「それでは六日後、よろしくお願いします」
そういって帰ろうとするアインさんをあわてて呼び止め、
「忘れてました、口座のキャッシュカードです。暗証番号は○○○○です」
そういってカードを渡した。
「ありがとうございます」
アインさんはカードを受け取り、これは上着のポケットの中に。
「そういえば、警護の人って何人ぐらいいるんですか?」
「警護班は六名です。そのほか五名が、東京を中心に情報調査等を行っています」
「情報調査というのは?」
「言語、歴史、政治、思想、そういったものをベースに、社会インフラから個々人の生活全般を調査しています。それでは改めて、失礼します」
アギラカナに行くのに何も準備するものがないようなので暇だ。金が1トンがどうのと言われると、ベッドの下に隠した六本の金の延べ棒ももはやどうでもよくなった。
あと、一週間弱、ビデオを借りて来てそれを見たり、本を読んだりして過ごすしかないか。
俺の新しく作った口座に大金が入金されたので、銀行からしつこく定期がどうとか、投信がどうとか勧誘電話があったがすべて断った。
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