チョコレート・パフェ

宇佐美真里

チョコレート・パフェ

ミキ姉ちゃんに最近、彼氏が出来たらしい。

お母さんが、ミキ姉ちゃんのママと話しているのを耳にした。

ミキ姉ちゃんは隣に住む中学2年生。ボクは小学4年生。

そういえば最近のミキ姉ちゃんは嬉しそうだったな…。

いつもズボンばっかりなのに、

「どう?このスカート?買って貰ったンだ!カワイイでしょ?」だって。

でも、初めて見るスカートのミキ姉ちゃんも凄く可愛かった。


今日は日曜日。どうやら、姉ちゃんはデートらしい。

昨日、おばちゃんがお母さんと話してた。

「ミキったら、明日はデートなンですって…。もうそんな歳なのネ…」

いつも見ているキャプテン・レッドも見たかったけど、

それ処じゃない…。


家からチョット離れた所でボクは、姉ちゃんが出て来るのを待った。

暫くして出て来たので、少し離れて後をつけて行った。

姉ちゃんは通っている中学校を少し過ぎた所で小さく手を振った。

横断歩道の向こうにいた男の子も、手を振っている。

アイツだ…。


姉ちゃんは、少し前をそいつと並んで歩いてる。

手は繋いでない。

二人は…いや、姉ちゃんとそいつは、

黄色い看板のファミレスに入っていった。

お母さんと一緒にいつも買い物帰りに寄る所だ。

ここのチョコレート・パフェはモノ凄く美味しい。

今日は、中には入れない。出て来たらまたついて行けばいいや。

でも…ガラスの向こうのミキ姉ちゃんは凄く楽しそうだ。

ボクはポケットからゲームを取り出した。

なかなかボスキャラが倒せない。いつも同じ所でやられるンだ。

…。

急に画面が暗くなったので、顔をあげた。

「?!」目の前には、さっきのヤツが立っていた。

「サトウさんが、呼んでるよ?中に入って来ればって…」

ボクはファミレスの中のミキ姉ちゃんを見た。

姉ちゃんはこっちを見て笑いながら手を振っていた。

そいつと一緒に、ボクも中に入って行く。

テーブルのそばに着くと、姉ちゃんが言った。

「ずっとついて来てたでしょ?」笑ってる。

「たまたまアソコにいたンだよ!」ムキになってボクは言った。

テーブルの上には、チョコレート・パフェが載っている。

「ウソつき!」また姉ちゃんは笑った。


チョコレート・パフェはやっぱり今日も美味しかった。

あ、チョットいつもより美味しかったかも…。



-了-

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