第108話 チコと鮫

1963年のアメリカ映画です。


本当に純真でキレイな映画だった。

素朴で感動的だった。


これでもうこの映画の本質は語ったことになるのではないだろうか?


南海の楽園と言われたタヒチでの、少年と鮫の友情を描いているが、タッチはセミ・ドキュメンタリーといったところで、“アメリカ映画”などとはおよそ書きたくないような作品だ。つまり、ハリウッドの対極をいっている。


登場するチコと女友だち、やがて成長する2人も,全くアジア系の顔をしていて出資がアメリカだというだけで,全くタヒチ映画と言いたいところだ。


監督のフォルコ・クイリチという方は、南海に取材したドキュメンタリー映画を3作手がけ,これはそれに続く4作目だそうである。


実は私はこの映画を高校生くらいの時に一回観たきりで、その後は2度と鑑賞の機会に恵まれていない。


だけど、少年と鮫の楽しい友情や、画面いっぱいの美しい海、素晴らしい自然の美しさは、今でも思い出すことができる。


サントラのLPレコードも買ったし、古本屋で手に入れたプログラムは今でも持っている。


ちなみに、そのプログラムには、何年のどの国の映画なんて野暮なことは一切書かれていないのである。


ラストがまた忘れられない。

東洋的なキレイな幼馴染の女優さんがまたいいのだが、その娘に向かってチコがボートの上から鏡か何かを使って陽光を眩しく反射させ、プロポーズして、うんというまでずっとこうしてるぞ、とかなんとか言った、そんな最後だったように思う。


ラストは海の情景で、途中使われる音楽も素朴で、これを見たら誰でもタヒチに憧れる、と思うような、そんな映画だった。


これを書いていると、本当に南海もいいし、若いっていいな、と思う。

なんてったって若い2人には夢がある。未来がある。


まあ、そういうことも、難しい理屈抜きで素直に信じられる、そんな映画なのだった。


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