第109話 CASSHERN キャシャーン
2004年の日本映画です。
たとえば小津安二郎のような、穏やかで、落ち着いた作品の対極をいくような映画だ。
映像も、音楽も,よくこれだけのものを作ったと思う反面、騒々しいことこの上ない。
しかしそれは悪い印象ではなく、私にとっては迫力ある見事な作りと言わざるを得ない。
とりあえず、少しだけ物語をご紹介したい。
そこでは大戦が50年も続き、世界は大亜細亜連邦共和国とヨーロッパ連合という、ふたつの陣営に分かれていた。長い戦いの末、大亜細亜連邦共和国が勝利し、東アジア一帯を支配するに至った。しかし、その勝利によって、人心の荒廃に、化学兵器、細菌兵器、核がもたらした薬害やウィルス、放射能などの後遺症と荒れた大地だけが残った。戦争が残すものは、現代においてそうしたものでしかないだろう。しかし、そこに解決策を提唱する人物がいた。東博士といい、彼は人間のあらゆる部位を自在に造り出す「新造細胞」理論を提唱、東博士は重い病に苦しむ妻ミドリのために、この研究をどうしても実用化したかった。博士のその理論を私欲のために利用しようとする軍関係者により、研究は始まった。そして実験場から生まれた新造人間が、人類へ滅びの道を歩ませようとした。(Wikipediaを参考にしました)
一方東博士の息子である鉄矢は、戦争に志願し、還らぬ人となって戻ってくるが、博士の研究からキャシャーンとして再生し、新造人間と戦うことになる。
* * *
折りしも戦争真っ只中の今日であるが、この映画の主題は反戦ではなさそうだ。
「戦争いつおわるかな」「何人殺したら終わるかな」などのセリフもあるが、この作品のテーマはもっと別なところにあると思う。あるいは、これが現代の反戦映画なのか?
私が特に好きな映像は、主人公が発狂しそうになりながら、村人の女性を撃ち殺すシーン。ザラザラとした砂のような白黒の映像感覚がとても良かった。戦争の悲惨さを、ワンカットで見事に表現している。
ラストの展開も、意外な悲しさがあってとても良かった。
しかし、全体を通して、僅かに作者のひとりよがりの印象は否めない。誰にも分かる内容ではない。その点で、否定的な見方もあるだろうし、賛否両論分かれるのは仕方ないと思う。
とはいえ他に例を見ない、個性的な映画なのは確かで,その点ではよくこれほどのものを作ったと思った。
総じて、私は好きな映画。だけど何回も見ると、具合悪くなりそうなかんじもある。
見てよかったことは確か。
すごい映画と言えると思う。
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