アットランダム

第106話 トップガン

1986年のアメリカ映画です。


約35年前、私の友人はこの映画に夢中になり、会うたびに、もう6回見た、7回見た、と回数が増えていった。


実際この映画はとてもカッコよく、一応よく出来ていて、男の子だけでなく、女の子も夢中にさせるものがある。


しかし、当時私はこの映画を見もせずに、こんな映画には、絶対金を払いたくないと思っていた。

そう、私は変人なのだ。


折しもイランとイラクが戦争し、その5年ほどのちにはアメリカ主導で正義の湾岸戦争に突入する。


あの頃,国際情勢にうとい私でさえこうだったのだから、少しでもまともな神経を持った青少年は、私と同様、変人としての道を歩んだと信じたいが、どうなのだろう?


ネットを見ていても、トップガンを礼賛するものは数知れないが、私が知る限り、批判はYahoo知恵袋の次のような文章くらいであった。


トップガンという映画がありましたが、これは何を表現したかったのでしょうか。

イケメンのエースパイロットが、最新の(当時)戦闘機に乗り込み、国籍不明の戦闘機を激闘の末に撃墜。そして最後は金髪美人と出来てしまうという定番映画ですよね。私にはアメリカ合衆国を盲目的に賛美するプロパガンダ映画にしか見えないのですが。


こういう文章は、いわゆる言ってはいけない、書いてはいけないものなのかもしれない。


繰り返そう。

私はこんな素晴らしい映画を素直に楽しめなかった変人である。


またその友人とも、その後あまり付き合いはなくなってしまったのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る