第98話 アマデウス
1984年のアメリカ映画です。
アカデミー賞を8部門受賞し、とにかく痛快で面白い内容は、世界を席巻し、楽聖モーツァルトブームを巻き起こした。
いや、内容が痛快というのは、物語が面白いとか、モーツァルトのキャラがユニークだとか、そうしたことだけでなく、2時間40分、モーツァルトという実在した音楽家の曲が全編に流れるのも大いに関係している。
しかし、モーツァルトって、本当にこんなキャラだったのだろうか?
調べてみると、舞踏会で女性のスカートをめくったり、幼児的な下ネタ好きだったというのは、どうやら本当のことらしいのだ。
その意味では、この作品のキャラは決してそうそういい加減なものではないのかもしれない。というより、実際に近いのかも。
物語はサリエリという宮廷音楽家の元を訪れた神父に対し、サリエリが彼の見たモーツァルトの話を語っていくという形式で進行するが、このサリエリの存在がモーツァルトのキャラに次いで、物語の中で重要な要素になっている。
サリエリがこれほど絡まなかったら、話はもっとつまらないものになっていたと思う。
サリエリはモーツァルトから屈辱を受けたり、その人間性に深く落胆しながらも、彼の才能に底知れぬ嫉妬を抱き、あらゆる場面でモーツァルトの不利益になるような行動をとる。
モーツァルトは最後までそんなことにも気づかずに、ついには「レクイエム」の作曲をサリエリに手伝ってもらいながら、やがて息を引きとるのだ。
モーツァルトは共同墓地に埋葬される。
私は、音楽としては、クラッシックの中ではフランスのフォーレという作曲家が好きで、モーツァルトはさほど好みではない。
しかしこうした映画では、モーツァルトの曲のエネルギーや楽しさは、抜群にいい効果を生んでいる。
映画を見ていて、心が弾む。
音楽だけを聴くのと、映像を観ながら音楽を聴くのとでは、また感じ方が異なるということを、この映画を観て改めて知ったのであった。
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