第20話 千と千尋の神隠し
2001年の日本のアニメ作品です。
この作品を取り上げないわけにはいかない。といっても、私が何を書けるわけでもなさそうで、読まれた方の不満の表情が今から浮かぶような気がする。
ニューヨーク・タイムズが、21世紀に製作された映画から、名作として残るであろう作品ベスト25本というのを選出しているが、この作品は堂々第2位に入っている。
しかしこの作品について語るのは容易なことではない。どう語っても、読者の方を満足させて差し上げることはできまい。
だからここではあえて、登場するキャラクターを追うことによって、語れることを語ってみたいと思う。
まず、家族3人が、トンネルを抜けて不思議な街に迷い込むところから話は始まる。そこで、空腹のため食べ物を食べた両親はブタになってしまう。
やっとの思いで逃げ出してきた千尋。
今度は船がやってきて、仮面のようなモノを被った神々(?)が降りてくる。ハクが現れ、次第に透明になっていく千尋を助ける。
そして油屋への橋を渡っているところにいるカエル。湯婆婆との出会い。
油屋では様々な客がお湯に浸かっている。
油屋のボイラー室には釜爺(かまじい)がいて、6本の手で次から次へと仕事をこなしている。
その玄関口にいる、丸く、イガイガのついた黒い虫みたいな連中。ボイラーの炉に石炭を投げ込むのが仕事らしい。
油屋で働くようになった千尋は、まずリンという女性従業員の世話になる。仕事も教えてもらう。
油屋を訪れるドロドロの奇怪な客。何だろうと思って見ていると、千尋たちに身体を綺麗にしてもらって、「よきかな」と呟いて、飛んで去っていく川の神様。
千尋をさんざん悩ませる坊。湯婆婆の子供。
そしてカオナシ。金を出して千尋にあげようとしたり、人を飲み込んで吐き出したりする。
最後に銭婆。湯婆婆の双子の姉。
こんなところだろうか。
これらのキャラクターが次々と登場し、千尋の今まで経験したことのない冒険が続く。
ここに挙げたように、この作品の極めて重要な特徴の1つは、そのイメージの豊富さだと言っていいと思う。
話が佳境に入ると、ハクが銭婆のもとから契約印を盗み出し、魔法のせいで大怪我をしてしまう。
千尋は釜爺からもらった片道切符で海の上を走る列車に乗り、銭婆のもとへ向かう。
やや騒々しいと言えるこれまでの展開から一転して、電車に乗っている間の光景はとても静かだ。
空から千尋がハクと手を取り合って降りてきて、ハクの名を「こはくがわ」と思い出す千尋。昔、溺れた自分を助けてくれた事も思い出す。空中で、涙が上に流れる場面は個人的に忘れられない。
ハクとは再会の約束をして、千尋は現実世界へ戻って行く。
何を語ったわけでもないのに、キャラクターを追っただけで長くなってしまった。
ただ、こうして見てきて、このアニメは単に物語の面白さであれだけの観客を動員したわけではないこともよくわかる。
じゃあ何が面白いかって、結局うまく語れなかったけど、とにかくこれは凄い作品だ。
それだけは、確かなのだ。
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