第10話 小さな恋のメロディ



1971年のイギリス映画です。


唐突だが、つい最近「君の名は。」というアニメが大ヒットした。私も一応見たのだが、画面の美しさは見事だと思った。物語もその面白さは分からなくもない。しかし、ちょっとそこまで超大ヒットする理由が、私には分かりかねた。


いつの頃からか、私にはこういう事が時々ある。

多分歳をとったのだろう。

ところが、「世界映画名作全史」の中で猪俣氏は「小さな恋のメロディ」について、次のように書いているのを今回発見した。


『(前略)しかし正直いって、私には何がそんなに彼ら彼女らの心を捉えているのかわからなかった。私は頑迷なる年寄りのつもりはない。といって特別新しがり屋でもない。新しくても古くても、いいものはいいと感ずるセンスだけは素直に持っているつもりなのだ。もちろん好き嫌いはある。だがこの場合、私はやや呆気にとられたといった方が自然だった』


やや長くなったが、今から50年近く前に、猪俣氏でさえ「小さな恋のメロディ」の大ヒットを前にして、こうした戸惑いに直面していたのだ。


私は多分高校生くらいの時に「小さな恋のメロディ」を見たと思うのだが、素直に面白かったのを覚えている。

ちょっと引っ込み思案のダニエル(マーク・レスター)も、親友のトム(ジャック・ワイルド)も、そしてメロディ(トレーシー・ハイド)も、皆魅力的で、バレエの練習をしているメロディを見てダニエルが好きになってしまうのも頷けたし、2人で海に遊びに行き、それを叱られた2人が結婚の宣言をして、学校中が騒ぎになり、クラスの皆が先生たちを抑え込んで、2人トロッコで出発するラストも、とても楽しかった。

全編に流れるビージーズの歌も良かった。


つまりは「君の名は。」は、素晴らしいアニメなのだと思う。もちろん老いた私にとってではなく、今の若い人たちにとって。

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