第4話 わたしとお兄ちゃんのやり取りを見てて、何か面白いんですか?
翌日の朝。
僕は直人とみゆりと並んで、通学路を歩いていた。
「お兄ちゃん、今日は補習ないよね?」
「ああ、ないない。だから、昨日みたいなことはない」
「本当に?」
「絶対だ」
「なら、いいけど」
みゆりは納得してなさそうな表情をしつつも、追及をしなくなった。
僕はそのような二人のやり取りをぼんやりと見ていたが。
「透先輩、何ですか?」
案の定というか、みゆりが僕の方を睨みつけてきた。
「いや、ただ見ていただけなんだけど……」
「わたしのことをですか?」
「いや、みゆりじゃなくて、その、直人とのやり取りを」
「わたしとお兄ちゃんのやり取りを見てて、何か面白いんですか?」
「別に面白いとか、そういうわけじゃなくて」
「じゃあ、何だって言うんですか?」
「みゆり、それ以上きつく言うな」
直人が言葉を挟むと、「でも、お兄ちゃん」と不満げな調子で声を漏らす。
で、僕は、「いいよ、直人」と気にしない素振りをする。実際は色々と言いたいことはあったけど。
「悪いな、透」
「お兄ちゃん、透先輩に謝らなくていい」
「あのな、みゆり。透は優しいから、何も言わないけどさ、他の人だったら、普通に怒られるぞ」
「それなら、それで、わたしは別にいい」
みゆりは言うなり、足早に前へ進んでいってしまう。
「みゆり」
直人は妹の名を呼びかけつつ、追いかけていく。
「兄も大変だな……」
僕はぽつりと口にして、直人とみゆりのやり取りがされている場へ入っていく。
また、「透先輩、何ですか?」と睨まれるかもしれないけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます