チカン

烏神まこと(かみ まこと)

第1話

 魔法学校行きの電車で、ユウガは好みの少年を見つけた。目がコーティングされたアーモンドのようにクリクリでキラキラで、ユウガよりも小柄な男の子。新品とは言い難い古びたマントが床に着きそうなほど大きくて通学ラッシュの車内では移動がつらそうだ。

 ユウガはその子の背後に立つと、マントを少し持ち上げ、手慣れた様子で尻を揉み始めた。男の子は一度後ろを振り向いたが、あとは前を向いてもじもじと動くばかりだ。

 抵抗する様子がなく、気分が良くなったユウガは準備していた男の子に"感度"を高める魔法をかける、はずだった。

 取り出した杖を振ってすぐにパチンと軽いものが弾けるような音がした。それから火がついたようにユウガの身体の内側から熱が指に腕に全身に広がる。ユウガが戸惑いながら男の子を見ると、彼は杖を持って愛らしい笑顔を浮かべ言った。


「次の駅で降りましょうか!」

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