ヒロインを助ける心優しき魔法使いの受難

エピローグ（※フローラ視点）

　ある国に現れた心優しい魔法使いのお話をしましょう。

　お花のような淡い紫色の髪に、夜空を輝かす満月のような瞳を持つ、それはそれは美しいお方なのです。

　彼女はその国で孤独を抱える王子様や、使命に囚われた騎士様や、内気な針子を助けてくれた偉大な魔法使いです。

　また、優しい眼差しでその国の国民たちを見つめ、思いやりに溢れた心で彼らのことを考えてくださっていました。

　彼女は困っている人々を暗闇から救い出してくれたのです。

　鈴の音を転がすような美しいお声で、いつも人々を励ましてくださる素敵な人。

　ある国の王子様は、そんな彼女に惹かれました。

　彼らはどうなったのでしょうかって？

　きっと一緒になって、絶っっっっ対に幸せに暮らしていると思います。

　彼女は世界の安寧のため、今日も誰かの幸せを願ってこっそりと姿を現わすのですって。

　この度王太子殿下がお迎えになった王太子妃殿下もとても美しい方ですね。

　はい、僭越ながらウェディングドレスを手掛けさせていただきました。ヴァルター公爵夫人に推薦していただけたのです。

　王太子妃殿下の慈悲深い微笑みに気品あふれる振る舞いは、国民たちの心を掴まれたようです。

　本当に、とても素敵な方ですね。

　ええ、お身体が弱くてほとんどを離宮に籠ってしまわれることもありますが、いつも国民のことを考えてくださっていますね。

　以前も孤児院の視察をされる際に久しぶりにお会いでき……いえ、初めてお会いできたのですが気さくに話しかけてくださるお方でした。

　あら……外国の国王陛下たちが王太子妃殿下をご覧になって驚かれることが多いのですか？

　な、なぜでしょうね？

　詳しくは存じませんが、王太子妃殿下は幼い頃は世界中を回っていたそうなのでお知り合いだったのでしょうね。……どうして知っているかって？

　夫のルートヴィヒから聞いたのです。

　夫の話では、王太子殿下はそれはそれはもう、王太子妃殿下を大切にされているそうですよ。

　王太子妃殿下が居ないと寂しそうで、早く帰ってきてくれと折に触れて仰っているのだとか。……あ、そうでしたね。ずっと離宮にいらっしゃるのにおかしいですよね。

　すみません、とあるご婦人のお話と混同していましたわ。

　なにはともあれ、めでたしめでたし、ですね。

＊＊＊お知らせ＊＊＊

最後まで読んでいただき誠にありがとうございました！

また、コメントや応援、そしてレビューをいただきありがとうございます！

とても励みになりました（；；）

今後は不定期で番外編を投稿していく予定です。

現時点で執筆中のお話のタイトルをここで告知させていただきます。

『結びの魔法使いごっこに興じる高貴な方々』

国王陛下やヴァルター公爵夫妻たち協力者がリタたちのために頑張るお話。

『隠した気持ち』

アレクシス殿下の本編とその後の事について。

『護衛騎士筆頭の溜息』

ブラントミュラー卿が護衛騎士の中では専属でリタの協力者になった頃のお話。

その他、リタの家族についての話や結婚式の話を書いていく予定です。

そちらも読んでいただけますと幸いです……！

最後に、とても図々しいお願いですが、もしレビューなどいただけると幸いです。

次作のエネルギーにします＞＜

それでは、新しい物語の世界でまたお会いしましょう！