からーげ 後篇


「からーげです」


 エージが目の前に置いたシロモン見て、半端無くどうしょうもなく俺の心は踊り狂ってダンスした。


 カリカリしてそうな、パリパリの衣。ジュワジュワと鳴るアレは、どう見ても唐揚げとしか言えない訳が無いわタコ。


「だぁいやす!」


 俺は左手と右手の両手を合わせて、早速の一目散に茶色いブツにかぶりつき食らった。ガリッとした固い食感から、中の中身の肉からは肉汁の汁がジュワっと口の中にすごい一杯に広がった。


 生姜とジンジャー、ニンニクとガーリックの香りが凄まじくて半端ない。凄い美味しい唐揚げやと思ったが、流石に半端なく旨かった。


「うまし!」と俺は叫んで雄たけびを上げる。エージは何か妙なものを見るような目で、白い目をしておった。俺は白い銀シャリが止まらずに、ご飯をかっ込んだ。


「こっちも食べてみてよ」


 そぉ言われて、促されるまま。もう一つの茶色い方の唐揚げへと、箸を伸ばして口を付ける。ザクっとした食感は、まさしく唐揚げやった。


 粉で出来た皮的なガリガリが、何やらチーズっぽい味がした。それがまた米が欲しくなる欲求が、また凄まじく半端無かった。


「これはね、粉チーズがね」


「確かに旨いわけや!」


 エージの親切丁寧な説明の解説で、俺はこの唐揚げが粉チーズで出来ているのが分かって理解した。何故かエージが苦い苦笑いをしていたのは、よう分からんがな。


 今度は黄色い茶色の唐揚げへと、箸を伸ばして取ってみる。香りが滅茶苦茶カレーで、何やらカレーっぽいような味がしそうやって思った。


 口に入れて、齧ってみる。肉から出た汁が、もう既にカレー味の肉汁やった。もしや、これはカレー味の肉汁の唐揚げなんやないか。めっちゃ米が進むし、カレーが食べとーなった。


 だが俺が食っているのは、カレーじゃなくて唐揚げや。唐揚げとカレーが食べたいときに、専門店の唐揚げがカレーでこんな味になるんやないかって思った。


「旨いわエージ」


 俺が言うとエージは、柔らかい柔和な微笑みを浮かべて笑った。


「お口に合ったみたいだね?」


 エージもご機嫌で嬉しいみたいやったので、俺は率直な素直な真っ直ぐな感想を述べた。


「おう、カレーが食いとぉなった!」


「…………は?」


 その時にエージの表情は、まるで怒りに憤怒したような怒ったような顔みたいやった。


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腹は鳴ったし、作せよ男子。 直行 @NF41B

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