からーげ 前篇
基本的に唐揚げというものは、包む粉は小麦粉を使用する。
片栗粉で包むのは竜田揚げといい、旧日本軍の海艇である「龍田」の乗組員が作ったとされている。僕がこれから作るのは、そのどちらでもない唐揚げである。
唐揚げといえば、北海道ではザンギとかいう名称らしい。詳しく言うとザンギと唐揚げは違うらしいけれど、道産子でない僕にはどっちでもいい話だ。
袋を三つと、鶏肉を二種類用意する。むね肉とモモ肉だ。普通の一般家庭では唐揚げに使用するのは、モモ肉一択という家が多いだろう。僕が混ぜる理由は、モモ肉だけだと油っこくて胸やけしてしまうからだ。
二つの肉を適当な大きさに切り、三つの袋に適当に入れていく。一つ目の袋に入れるのは、ニンニクと生姜と醤油。もう一つ目の袋に入れるのは、顆粒コンソメのみ。最後の袋には、擦りおろしたカレールウだ。
後は袋ごと揉むだけ揉んで、放置する。ボウルに入れて調味料を混ぜない理由は、手が汚れるしボウルも洗いたくないっていうだけの理由だ。
フライパンに油を入れて、中火にかける。隠し味として、少しだけラードなんか入れてみる。これが何の役に立つかは知らないけれど、冷蔵庫にこないだラーメンに使ったのは残ってただけなのだ。
バットに小麦粉と片栗粉を、敷き詰めるように出していく。この二つの粉を混ぜるので、唐揚げでも竜田揚げでも無いと言ったのだ。
じゃあザンギか、と聞かれても。僕はザンギも食べた事が無ければ、銀座にも行った事は無い。
粉を敷き詰めたバットに、満遍なく軽く胡椒と塩を振る。まずは一つめの袋、ノーマル唐揚げに粉をまぶしていく。
余りギュッと粉を押し付けるのは、何となく嫌な感じがあるから。僕はサラサラと、振りかけるようにやっていく。街の風景を雪化粧が染めていくように、鶏肉にも白粉を着けていく。
油が立ち上がったので、ひと先ずは五個くらい投入する。一気に入れると油の温度が下がってしまい、揚げ色にバラつきが出てしまうんだ。
全てを揚げ終わると、今度は二つ目の袋に移行する。コンソメのみで、味を付けただけのものだ。なんせ味付けがシンプルなので、皮に工夫をする必要がある。
僕は冷蔵庫から、パルミジャーノチーズを取り出す。グレーダーと呼ばれる擦りおろし器で、ガリガリとチーズを粉状にしていく。粉の敷いてあるバットの上で、平均的に全体に行き渡るようにガリガリしていく。
そしてコンソメ味の鶏肉に、粉チーズ入りの粉を化粧してから揚げていく。
最後はカレールウで味付けしたものだけれど、これも着ける粉には工夫する。バットには今、小麦粉と片栗粉と粉チーズの混ざった粉が敷かれている状態だ。
そこにカレー粉を、パパッと軽く振っていく。別に肉自体の味付けがカレーになっているのだから、粉までカレーにする必要なんて全く全く全然意味は無い。
それでも見た目は黄色くなるので、まさしくカレー味というのが分かり易いのだ。
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