ラジオドラマ脚本として書かれている作品です。脚本なので頭の中で登場人物たちが分かりやすく演技してくれて想像力が掻き立てられました。お話は、一人の女優とゴシップ記者たちと彼らをめぐる人間たちの群像劇です。ローカル線・伝説・雨・自殺と様々なキーワードが出てきます。最後まとまったときにほっこりとした余韻が残りました。ぜひともラジオドラマで聞いてみたいです。
脚本の様式で描かれていますので、頭の中で役者さんにお芝居をさせながら読み進めると楽しいです。死について思い悩む人々の群像劇。けれども決して重たい話ではなく、軽快にお話は進みつつも要所要所で死について考えさせられます。旅の目的地、清津へ彼らを運ぶディーゼル列車が陰ながら心地よい情緒を与えてくれます。雨に優しく洗い流されていくように、すっと気持ちの楽になる読後感が良いです。