パンドラの声

アケローン川出身大猫

第1話 バカ

「昨日テレビで見たんだけど1年後に大っきな隕石が地球に落下して世界が滅亡するらしいぜ!」

クラスのバカな男子達が騒いでいた。

だが僕にはわかる。

僕には見える。

ーーー見えてしまう。

残念ながら隕石は落ちてこないし、世界は滅亡しない。

僕もその番組は見た…

でも見えてこなかった。

隕石が落ちてくるビジョンがーーー

僕が彼らを見てふふっとニヤけていると、騒いでいた1人がこちらに気づき近づいてきた。

僕は悟った。

「またか…」

彼らは集団で僕のことを殴った。

いつものことだ。もう慣れている。

軽く僕をボコった後バカな彼らは笑いながら教室から出て行った。

高校3年の大切な時期

だが僕は絶対に先生には言わない。

もちろん言おうとは思った。

行動にも移そうとした。

だが…

先生に相談しようとした時最悪なビジョンが見えてしまった。

「担任を集団で暴行し死亡させた疑いで高校生4名の身柄を確保」と言う新聞記事がボヤけて見えた。

他人とはいえなんの罪もない人を巻き込むわけにはいかない。

僕は鼻から出る血をパッと手で払った。

ーーー僕は。 黄昏ていた。

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