第6話
休憩後。俺は試合の準備をしていた。すると親父が、
「お前は武器をどれか一つに絞れ。今だけでいい。」
と言ってきた。そう、俺は、太刀一刀流、二刀流、小太刀、大太刀計四種全て使えるのだ。別に、武器にこだわりはないので、
「わかった。」
と返事した。
試合前となった。審判ははる姉に任せている。すると親父がまた言ってきた。
「お前との試合は少し認識を変えてもらう。俺は普通に攻撃をする。だから、お前も全力で来い。異世界に行くだけの力だけで無く、次期当主としての実力も兼ねて測らせてもらう。いいな?」
真剣な表情をしていた。当然かもしれない。俺は次期当主だ。だから、
「わかった。」
と、簡潔に答えた。ちらっと審判の方を見ると、そこにはーー目を輝かせた二人がいた。え、なんで?心配するところじゃない?そう戸惑っていると、
「審判始めてくれ。」
と、親父の声がした。そうだ、今は集中しないと。
「刀真、お前アレ出るよな?」
突然話し掛けてきた。始まりますけど?
「うん、当然。試合だからね。」
「嫌になるなあ…。」
と、親父がウンザリしていると、
「試合、開始!」
ほら始まったあ!そんじゃ、始めますか!
「玖珂 刀真 、参る。」
俺は、駆け出す。
「親父、行くぞ。玖珂家 刀真流 『瞬閃』」
鞘から繰り出すのは、『一閃』を超えた速度と威力の斬撃。
「ふっ。」
親父は軽くいなす。やはり、二人の時は手加減していたようだ。
「その技、『一閃』と体の使い方が違うな?」
流石に見抜くか。
「ああ、そうだ。腰、肩だけで無く、足首から上の全ての関節を駆動している。」
言うのは簡単だが、実際は非常に高難度だ。実戦で使えるまでに一年を要した。
「まだまだ行くぞ。玖珂家 刀真流 『疾風迅雷』」
今度は『疾風』を連続して放つ技『疾風迅雷』を使った。これも体の使い方が異なり、止まる動作と動き出す動作の間を極限まで減らすために、足の切り替えを工夫している。
さて、ここまでで気づいたかもしれないが、試合前と試合中とで俺の口調が変わっているのだ。これが、親父の言っていたアレだ。俺は、試合に集中すると口調が変わるのだ。理由は、敵を前にして如何なる事でも動揺しないようにと子供時代に考えたからである。
縦横無尽に親父に斬りかかる中、ふと二人に目をやると、先程よりも目が輝いており、笑顔になっていた。何故なのか。←鈍感
親父はーーまだ余裕そうだ。なら…!
「玖珂家 刀真流 『竜爪』!」
竜の爪の如く刀を振るう技。速度は十分、威力はトップクラスの技だ!これなら!
「玖珂家 刀理流 『臨界』」
な!弾かれた!?
「刀真、これで最後の技だ。お前の最強の技をぶつけて来い。実力は申し分ない。もちろん、当主としてもだ。だが、これは本気の勝負だ。きっちりと決着をつけよう。」
「わかった。」
俺たちは親子だ。だからそれだけで十分。俺の全てをぶつけてやる!
「玖珂家 刀真流 『轟滅』!」
「玖珂家 刀理流 『破断』!」
「「うおぉぉぉぉぉおおああっ!!」」
バキッ!!
「ぐあっ!」
「そ、そこまで!勝者、玖珂 刀理!」
「まだまだだな、刀真。だが、見事だ。よくここまで鍛え上げた。合格だ。」
そう言って、親父は笑った。
侍伝説‼︎〜現代の侍が異世界で活躍する!〜 @kuen0314
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