第8話 迷宮の調べ

「今のは…」

 中性的な声が脳内に響く。

囁きウィスパーだな。意味は分かるよな?」

「ええ。にしてもこんな大規模魔法が幾度となく投写されてるって…」

「まさに神業だな。…今なんて?」

 間違いなく大規模魔法が何度も投写されただよな?少なくとも俺や精霊の方舟スピリット・ノアでは感知できていない、セファー・ラジエールに記されないと言うのに何故にこの少女はソレを感知できたのだろうか?

「大規模魔法が幾度となく投写されたってお父様が」

「アイツか…」

「あら面識があるの?」

「いや全然。知り合いに話を聞いた以上では良い感触がない」

 それに精霊の方舟俺らにも色んな事を伏せているので寄生虫だったりマッド経営者とか色々な呼ばれ方がある。

 それに良くない噂もかなり耳にするしセファー・ラジエールで調べる限りじゃあもう真っ黒黒助だがそれ以外では確認出来ていない…天界の全能の本でない限り感知できないというのが現状だ。下手に手を出すと何をしでかされるかは分かったもんじゃない。裏の人間に被害が出るならともかく表の人間が殺戮されるとなるとボロも出る。

「まあ私も悪評は良く耳にするわ。それよりも今は…」

『現在地球では9999個のダンジョンと呼ばれる施設が存在しております』

 再びの声。今度はまるで1人1人に対応するように立体映像で『ダンジョン』が存在しているであろう場所を写しており世界地図で赤い点で示している。

 日本だけでもそれなりの数があることが確認できている。凡そ1000と言った所か。普通に考えるにあり得ない数字だがその場所をみるに何かしらの理由があるのは確実。

『ダンジョンにはモンスターと呼ばれる生物がおりダンジョンが攻略されずに一定期間放置するとモンスターが解放されます』

 そこでつい先程の俺が桜小路さんを助けてゴブリンを瞬殺する光景だがセファー・ラジエールの存在を隠しており全ての固体を格闘技のみで圧倒していた。

 というか解放ってかなり不味いよな。特にゴブリンとかオークとかオーガとか。

『とこのような人ならざるモノが居て非常に交戦的でもあります』

 自重の範囲内だが明らかに人智を超えた身体能力の正体には気付くだろう。それにモザイクも貼られおりまるで物事を隠したいのか広めたいのかよく分からない。

『そしてダンジョンを攻略して行くとDPを取得できます。DPはスキルと呼ばれる能力を習得できます。DPはモンスターの撃破・階層踏破などで手に入ります』

 すると目の前に小さな結晶が二つ現れた俺と桜小路さんの心臓に吸い込まれて行く。

『それでは皆さんの健闘を祈ります』


《スキル 自己鑑定セルフチェックを獲得しました》

《創世スキル 全界書記セファー・ラジエールを獲得しました》

《初めてのダンジョン侵入・初めてのモンスター討伐・初めてのスキルによりDPを入手しました》

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

全界書記と迷宮編纂 髙﨑 レイ @reitakazaki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ