9.15.先輩風
子供たちの様子が気になるので、見に行くとしよう。
一番厄介そうなラインの子供たちを見に行ってみようかな。
あいつら速いし。
匂いで場所を確認してみると、意外なことに全員が固まって動いていた。
何かあったのかなぁと思って見に行ってみれば、どうやらシグマとラムダがラインの子供たちにここのことについて教えていたようだ。
『これがはたけっていうやつだぞー!』
『はたけ?』
『食べ物が作れるんだってさ!』
『『『『へーー!』』』』
おおー、二匹のお陰であいつらがまとまっている……。
ラインとレイアは楽そうだな。
微笑ましそうに見てる……。
そういえば、シグマとラムダはこいつらのお兄ちゃんに当たるのか。
そうか兄ちゃんか!!
『そりゃ先輩風吹かせたくなるわなぁ~』
体の大きさも一回り大きい。
子供の成長ってやっぱり早いもんですねぇ~……。
ていうか畑のことなんて知ってたのか。
セレナが教えてたのかな?
今のところ人間と話せる子供はセレナしかいないしね。
あいつは一番人間の知識を持っているだろうなぁ。
てなるとセレナのところで話を聞いている子供が多いんじゃなかろうか。
暇があったらそっちに行ってみてもいいかもしれないな。
そこで、ラインが俺に話しかけてきた。
『オール兄ちゃん』
『なんだ?』
『なんか前より人間たちが落ち着いてるね』
『そりゃそうさ。もう不安の種は今のところないからな。心に余裕ができた証拠だろう』
平和になったんだからな。
何時までも不安そうにされていたらこっちの気も滅入るというものだ。
今はどちらかというと新しく来た子供たちに興味津々って感じだが、人間たちからは近づかないようにしてもらっているからね。
人間の子供たちもそのことを良く守ってくれている。
まぁセレナの兄弟とは一緒になって遊んでくれているが。
『あいつらがあそこまでまとまるとはな』
『ちょっと元気がありすぎるんだよねー』
『子供はそれくらいでちょうどいいさ。あいつらにはまだ狩りは教えてないのか?』
『レイアが少し教えてるよ』
『はい。少しだけですが』
『それなら大丈夫そうだな。じゃ、引き続き見ておいてくれな』
『うん』
こっちは問題なさそうだな。
次はメイラムの所に行ってみるかぁ。
そう思って匂いでメイラムを探す。
どうやら街の中央にいるらしく……既に多くの人間に囲まれていた。
『まぁ、あいつだしな』
人間を助けたのがメイラムなのだ。
あいつは信頼を完全に勝ち取っているからな……。
ああなってしまうのも無理はないだろう。
多分子供たちもそれに巻き込まれてるな。
大丈夫だろうか……。
見に行ってみると、意外なことに子供たちはメイラムと同じ様にブラッシングされていた。
母親のラムイムは少し不安そうにしているが、メイラムが大丈夫だと説得している。
『メイラム~。大丈夫か?』
『オール様……。ええ、この……通り』
『お前から子供たちを人間に会わせたのか?』
『はい。子供たちが……毛並みの、ことを聞いて、きましてね。同じことをさせて……あげようかと』
『ああ、なるほどね』
そういう感じか。
まぁ接点が多くなるのであれば、それでいいかもな。
人間たちもメイラムの子供というだけあって、とても慎重に毛を梳いている。
彼らはメイラムが助けた人間の家族だな。
いろいろ世話をしてくれるありがたい存在だ。
『『すぴー……』』
『あらら、寝ちゃったなぁ』
『子供にとっては、これが……いいらしいので……。自由にさせておいても、良いかと』
『だな』
まぁ恩人……じゃなかった。
恩狼の子供に手を出そうだなんて奴はいないだろうし、もしそうでない奴がいたとしても全力で助けてくれるだろう。
こっちもこのままでいいかもね。
んー、てなると不安要素がマジでなくなってきたなぁ。
あ。
ヤバイ第三拠点広くするの忘れてたわ。
こっちは任せても問題なさそうだし、俺は少しそっちの作業をしに行くとしますかね。
『メイラム。こっちは任せた』
『はい。わかり、ました』
ガンマもベンツも見てくれているだろうし、今日寝泊まりする場所を作り直すとしましょうっ!
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