5.58.魔素のない土地
不思議な感覚がする。
なんだか空気がピリピリしているのだ。
あまり気持ちの良いものとは言い難い。
だがこの正体を調べずに放っておくのはよくないだろう。
子供たちがこんなところに来ても困るし、注意出来るようにしておかないといけない。
さて、何があるのだろうか……。
『ん? …………。魔素がないのかここ』
『みたいですねぇ。気持ちが悪いですぅ……』
気持ち悪い原因は魔素がないことだった。
こんな感じは今まで経験した事がないのでよりいっそうその不快さを感じとることができる。
でもどうして魔素がないのだろう。
そういう土地だからと言ってしまえばそれまでなのだが、俺はもう少し根本的な理由を探したい。
臭いを嗅いでその原因を探ろうとしたが、よくわからない。
なにせ気持ち悪いという感覚しかないのだ。
それ以外は臭いもないし、音も聞こえない。
魔素が無いというのはこんなにも気持ちが悪い物なのか。
魔素がなくなると死ぬっていうのはあながち間違いではないかもしれないな。
それも体内にある奴が無くなったらの話だけどね。
俺の魔力総量は普通より多いらしいし、無くなることはなかなか無いと思う。
でも他の仲間たちは違うからな。
そこへんはしっかり見ておかなければ。
『つっても、なんもないなぁ……』
『ですね。魔素が無いのはわかりましたし、もう帰ってもいいのでは?』
『んー、でもなぁ……』
『魔素が無いということは、魔素が何かしらの原因で吸われているということです。長居は危険かもしれません』
む、そういう考え方もあるか。
確かにここだけ魔素が生成されていない何てことはないだろう。
何処かしらから流れて来ていてもおかしくはないのだから、ここは天の言う通り、何かの原因で魔素が吸われていると考えるのが妥当だろう。
空気中の魔素を吸うのか、それとも生きている魔物からも吸いとってしまうのか……。
俺の魔力総量じゃ調べれそうにないな。
コイツらも俺の魔力吸って生きてるから、確かめるには俺たち以外の狼を連れてこないといけない。
でも絶対にそんな危険なことはさせたくないので、調査はやめにする。
ここが危険な土地だとわかっただけで十分だ。
場所も把握しているし、問題はないだろう。
使うとしたら、俺が魔物と戦って苦戦したときくらいなものだろう。
……そもそも使うことがあるような事がなければいいのだけどね……。
よし、じゃあ後二つの方角も適当に見て帰るか。
時間まだ残ってるしな。
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