捜索開始 ~姉の証言~
第6話
遠くから――そして少し高い場所から見ていた。
玲の姉に会ったことはないが、川にうつぶせで浮いている人物が彼女の姉だと、なぜか分かっていた。
川から道路側へと視線を移す。
真っ青な顔をした彼女が川へ向かって走ってきた。
警官となにやら話している。
車に残っているのは――母親と小さな女の子二人か……
気が付いたら自分の体が、高い所から車のそばまで移動していた。
窓を開け、川岸を見つめている母親にささやいた。
「おたくの娘さん、腹を刺されて川に浮いてましたよ」
「……ママ?」
「そう、君たちのママ。殺されちゃったみたいだね」
言い終わるが早いか、母親が車から降りた。
足元がもつれて倒れこむ。
近くで見ていた人が手を貸し、体を起こして支えている。
続けて小さな女の子が二人降りてきた。
大きいほうの子は泣きそうな顔をしている。
下の子は無表情――いや、かすかに微笑んでいる。
まだ小さすぎて理解できないのか……
「さあ、川の近くまで行ってごらん。ママが死んでるよ」
女の子たちが走り出したのを見て、高い場所へ戻る。
「見ちゃだめっ!」
――玲の叫び声で目が覚めた。
目覚めた俺は、笑っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます