記念日

過去にすがりつく。

時間がどれだけ経過したのかは知っている

君の残した音楽が私の中に反響し続けている

どうやったって消せないから

白旗振って痛みを迎えよう


私のことなど忘れてしまっているだろう

なにより彼女の目は痛いほど透き通っている。

冷えた自転車、冷えた椅子

隠された牙に気づかず信じていたんだ


君が消した存在に未来などあるのだろうか

君が見た未来に私が行けなかったこと、残念だ。

心がざわめく。いつものことだ。

夜になると自分自身に襲われる

決断、思慮、感情は無意味に沈む

音のしない世界で他者を憎むことでしか

自分を保てないなんて

色のない世界を未だに見てしまうなんて


存在の消失

尾を引く笑顔と表裏一体の闇に乾杯

彼女は私を消した。

私はまだ「君」を消しきれていないようだ


321

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

iNfaTuAtIOn to be continued Finnland000 @finn611

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ