失恋の産物

ベルリンの壁がベルリン市内を物理的に

分断していた時代が過去にはあった。

東の民衆は離散した家族のことを嘆き、

裕福な家庭に生まれた西の民は対照的な人生を送った。


と言われている。これは歴史だ。


しかし、今と昔で変化など微塵もないように感じる。

目に見えない壁によって仕切られた僕たちは、

どんなに近づこうとしたって空虚さと共に詮索を終える。

繋ぎ止めるその手は実体を帯びていない。

いや、もはや手をとって引き留めることなどできやしない。

電車街道ゆらりゆらり。

「君、ちょっと太ったんじゃないかい?」

「今日はやけに派手な髪じゃないか、

とっても似合ってる」

と言いたかった。しょうもないことだけ話していたかった。


人はこういう、相性が合わなかったと。

私は、僕は、拙者は、馬鹿は

一度いや2度、淡い色の君をこの手で射止めた

過去にすがっている。そう言って突き放さないでくれ

この際私など誰でもいい。君さえいてくれたら。


See you just once again,

Only if we could incarnate and be the one for each other

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