第21話 想う気持ち

————————昨日帰ってくる…はずだった。


【カフェ】


叶「あの…春希さん、青葉から連絡ってありました?」

春希「そういえばないわね。昨日帰ってくるって言ってたけど…咲良の方は?」

咲良「私の方にもお兄ちゃんから連絡はないよ。どうせ、充電が切れて連絡取れないとかじゃないの?」

叶「充電なかったら、誰かに充電器借りたり、コンビニで買ったりできないもんかなって思うんですけどね…」【考え込む叶】

春希「何?やっぱ心配か、青葉のこと。」

叶「そりゃそうですよ!昨日帰ってくるって言ったのに一向に連絡ないし、LINEも既読してないみたいで…」

咲良「まー、待ってたらひょっこりと帰ってくるんじゃない?大丈夫だよ。お兄ちゃん、運は強いからさ。」

叶「……………」【不安そうな表情の叶】

春希「満島くんにこんな顔させて、帰ってきたら青葉の奴をしかってやらなきゃ!」【そう言いながら笑う春希】


【夕方〜カフェ〜】

春希「満島くん、もう上がっていいよ。」

叶「え!まだ時間じゃないですけど。」

春希「いいのいいの、今日はそんなに忙しくないし、あとは私がやっとくから帰って休みな。」

叶「じゃ、お言葉に甘えて…」

春希「うん。お疲れさま。」【笑顔の春希】

【変える準備をする叶】

叶「ホットカフェラテ買ってってもいいですか?」

春希「どうぞどうぞ〜」

叶「ありがとうございます。」【カフェラテを作る叶】

【サンドイッチを渡す春希】

春希「はい、これ家で食べて。きっと連絡来るから待っててあげてね。」

叶「はい、ありがとうございます。お先に失礼します。」

【心配そうな表情の春希】


叶『青葉と初めて会った時に比べると、自分でも本当に変わったと思う。最初は、男が男を好きになるなんて有り得ないし、無理だと思ってた。だから、青葉から告白された時、心底無理だと思ったし、拒否しまくった。それでも、青葉は俺のことを思ってくれてて、一定の距離を保ちながら接してくれてた。全て俺のためだったんだ。いつしか、青葉から目が離せなくなって、会う機会も増えていった。この気持ちに戸惑った日もあったけど、今はなんとなくわかる気がするんだ。』


叶「早く帰ってこい…バカ。」【ホットカフェラテを両手で握りしめる叶】



【叶の部屋】

叶「ただいま〜。今日もお疲れさまっと」

【シャワーを浴びに行く叶】


〜20分後〜

【テレビをつけるとニュースが流れている】

【髪の毛を拭きながら出てくる叶】

アナウンサー「本日午後6時頃○○辺りでワゴン車とトラックが接触する事故が起こりました。トラックの運転手の信号無視が原因とされており、トラックの運転手とワゴン車の運転手、そして、同乗していた男性が重傷とのことです。」


【呆然と立ち尽くしてタオルを床に落とす叶】

叶「…うそ。このワゴン車って青葉の事務所のじゃ…。」【急いで電話をかける叶】

【電話をかけたながら靴を履き、駆け出す叶】


叶『違うよな。青葉…』



———————————————電話に出ろよ!




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