第20話 音信不通

———————————————その事実は突然やってきた。




【カフェ】

咲良「えー!!!!!!!お兄ちゃん2泊3日で撮影に行ったの!?」

春希「そう。」

咲良「それ満島くん知ってるの?」

春希「わかんないけど…青葉のことだから言ってるんじゃない?」

咲良「いやー、お兄ちゃん不思議なところ抜けてるから言ってないんじゃない。」

春希「言った方がいいのかな〜」

咲良「で、誰との撮影なの?」

春希「確か……与長華月ちゃんじゃなかったかな」

咲良「与長華月ってあの今人気上昇中のモデル!?」


【横に人の気配を感じる咲良】

【目をやると叶が立っている】

叶「…青葉、泊まりで撮影行ってるんですか?」【下を向きながら言う叶】

春希「……あれ〜?もしかして聞いてなかったとか〜?」【焦りを隠せない春希】

叶「はい。聞いてません。」

咲良「ほら!お兄ちゃん言ってないんだよ〜」【焦る咲良】

叶「……………」

春希「あー、きっと青葉にも何か考えがあるのかもよ〜。心配かけたくないとか〜」

咲良「それか、すぐ帰ってくると思って言ってないだけとかね〜」

叶「…………俺…」

春樹&咲良「………………」

叶「特に気にしてませんよ〜」【笑う叶】

春樹&咲良「………………」【拍子抜けする2人】

叶「春希さん、カフェラテのホットください」

春希「…えー、ちょっと待ってて」

叶「俺今日ちょっと勉強しないと行けないから向こうの席行くね。」

咲良「う…うん。がんばって」

叶「ありがとう。」

『正直、少し気になるけど…まぁ、二泊三日なんてあっという間だし。うだうだ言うのも情けないし、携帯あるから連絡は取れるし…』



【メールを打つ叶】

『今日から泊まりで撮影なんだって?頑張れよ!』


【叶の部屋】

叶『メールスルーしたのか…あいつ。既読さえもつかん。』

【電話をかけてみる叶】

『おかけになった電話は電波の届かないところにあるか、電源が入っていないためかかりません。』

叶「ちょっと…携帯通じねぇじゃん…あいつ充電し忘れたか。」【呆れる叶】

『とはいうものの、明後日には帰ってくるんだから大丈夫か』


【大学の食堂】

叶『全く連絡がない………』

叶の友達「あれ?叶、元気ないね。」

叶「…………うるさい」

叶の友達「んな態度とってるけど、気づいてるか?」

叶「何を?」

叶の友達「前に比べて表情が豊かになったことだよ。」

叶「…………」

叶の友達「前は、何言っても興味ないっていうか、女の子と遊ぶけど、なんかノッテないっていうか…そんな感じだったのに。久米月くんと出会って友達?…になってから徐々に感情を表に出すようになった感じがして…」

叶「……んなことねぇだろ」

叶の友達「そういうのって本人はわかんないもんだよ。で、連絡ないのか?久米月くんから。」

叶「………あー、今日帰ってくる予定だから心配はしてないんだけど、LINEも既読にならねぇし、電話かけても繋がらなくて。充電器忘れたくらいだったらコンビニで買えばいいし、誰かに借りることだってできるだろ。」

叶の友達「考え過ぎじゃん。電源が切れてるのに気づいてないとか、もしくは忙しくて携帯見る暇さえもないとか。気にするなって、なっ」

叶「………………」



——————そうだよな。いい大人なんだし。気にしないようにしよっ…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る