空の天井
閉じて、それでいて広く、剥き出しのコンクリートに塗れたこの部屋で、私は今日もただ椅子に座っていた
沈黙と寒気とが一緒くたになって私におおい被さり、無味無臭の苦痛だけが私を内側から引き裂こうとするかの様に膨れ上がる
それは瞬く間に胸の中を満杯にし、肋骨のが限界を超えてみしみしと音を立てるかに思われた
その時、私のほほをピシャリと一粒の水滴がうった
キラキラとまばゆい光と供に舞い降りたこの雫は一体どこから?
それに気がついた時、私の頭上を一羽の大ワシが飛び過ぎた
巨大な翼が羽ばたき、巻き起こされた突風が私を痛みのない苦しみから、胸にポッカリと空いた穴に溜まった汚水からすくい出す。
私はたまらず椅子を蹴倒して立ち上がると、わき目も振らずに駆け出し飛び上がる
大ワシの足首をむんずとつかみ、大ワシと供に空虚に塗れた部屋を飛び出した
大ワシはどこまでも遠く高く私を運んでくれる
そんな気がしていた
大河 伊藤 経 @kyo126621
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