第24話 美少女は彼氏を癒したい

私、福尾柚羽と私の彼氏、田代優弥の妹の瑠那が入れ替わった日の夕方、私は一人で家の玄関のドアを開けていた。


正直、この生活が続くと私のメンタルが持たない。だって彼氏とイチャイチャ出来ないんだよ?今の私にとって、こんなにつらいことは無い。


瑠那の部屋に入り、すぐにベッドにダイブする。


「つらいよ…」


同じ屋根の下に彼氏がいるのに、イチャイチャ出来ないなんて…


そんな事を考えていると、ポケットの中のスマホが振動した。


見てみると、私になっている瑠那からメッセージが来ていた。


アプリを起動し、送られてきた文章を読む。


『今日はお互い大変でしたね…入れ替わった理由は分からないけど、おかげでお兄ちゃんと色々出来ました、ありがとうございました』


という文章と一緒に、クマとウサギがラブラブしているスタンプが送られてきた。


何だろう、本人はそういうつもりは無いのかもしれないけど、すごいムカつく。いつの間にか、私は彼氏の妹に敵対心を抱いていた。


こうなったら、何がなんでもイチャイチャしてやる!そう思った私は、早速クローゼットの中の服を物色するのだった。





夜ご飯を食べた後、俺はいつものように二階に上がり、自室に戻る。


いつもはこの時間はアニメやマンガを見たりする時間なのだが、今日はやけに柚羽が通話をしたがっていたために、俺の自由な時間が無くなってしまう。

彼女からのお願いだ、仕方がない。そう思い、俺は自室のドアを開ける。


すると、そこには正座をしながら俺を待っていたのであろう瑠那の姿があった。しかもメイド姿の。


……え?何この状況、どゆこと?


あまりにも目の前に広がる異様な光景に、一瞬戸惑ってしまった。


とりあえず一旦整理する。


目の前にはメイド服を着た妹の姿。正座をして、「待ってたよ、お兄ちゃん」と言っている。


……なるほどね、全く分からない。ていうかどこでそのメイド服は買ったんだ?何の為に買ったんだ?


色々と気になる事が多い中、瑠那が俺に話しかけてくる。


「お兄ちゃん、こっち来て?」


「え?ああ、分かった」


分からない、何でこうなっているのかは分からないが俺は部屋に入り、妹の前に座る。


「私の膝の上で横になって?」


どうやら俺の妹は、俺に膝枕して欲しいようだ。うん、なんで?


「良いけど、何で膝枕しないといけないんだ?」


「それは…お兄ちゃんいつも顔が疲れてる感じだから、癒してあげようかな〜って」


今、しれっとディスられた気もするが、これは俺の事を癒してあげたいという善意らしい。


「そういう事か、ありがとな」


俺はそんな瑠那のお言葉に甘えて、膝の上に頭を乗せる。


「お、おぉ…」


何だろう、これは妹に言っていいのか分からないが…うん、素晴らしい、最高だ…


瑠那の柔らかい太ももが、俺の頭にちょうどフィットする。本当にクッションみたいだ。


そんな感触に浸っていると、瑠那はおもむろに、ポケットから耳かき棒を取り出した。耳掃除をしてくれるらしい。


「耳かきしてくれるのか?」


「うん、動かないでね〜」


そう言って、瑠那は俺の耳に優しく耳かき棒を入れる。とてもくすぐったくて、気持ちいい。


一通り耳かきが終わった後、瑠那が俺の耳に息を吹きかける。


「ふ〜」


思わずぞわっとして、体を震わせる。


「ふっ、びっくりしちゃった?」


「ああ、まあな」


「お兄ちゃんかわいい♡」


妹にかわいいと言われた。嬉しくは…ないかな…





耳掃除も終わり、時計を見るとすっかり寝る時間になっていた。


「なんか色々とありがとな」


もう終わりだと思い、俺は瑠那に感謝の言葉を伝える。


終始、なぜメイド服を着ていたのかよく分からなかったが、これはこれで新鮮で良かったかもしれない。


しかし、瑠那からの癒しはまだ終わっていないらしく…


「え?何言ってるのお兄ちゃん、一緒に寝るよ?」


いや、あなたが何言ってるの瑠那さん??一緒には寝ませんよ!?


「え?それはちょっと…大丈夫だよ」


俺はすぐに瑠那からの提案を断る。しかし


「一緒に寝て…くれないの…?」


そう言いながら俺の手を握り、上目遣いをしてくる瑠那。ふっ、何回もされているからな、もうその手には慣れた。


俺は再び断ろうとする。が、しかし


「ねぇ…お願い…」


そう言いながらいきなりハグをしてくる瑠那。ちょっとぉ…それは反則ですよ…


「仕方ないなぁ…今日だけだぞ?」


全く…弱すぎだろ、俺。


こうして俺らは二人で同じベッドの中に入るのだった。





翌朝、目を覚ますと、私は見覚えのある部屋に一人で横になっていた。


辺りを見渡すと、ここは紛れもなく私の部屋。元に戻っていたのだ。


「やった…!元に戻った…」


正直、もうちょっとイチャイチャしたかったけど…まあいっか、今日も学校で出来るし。


しかし、元通りになってから気が付く。あれ?私、昨日優弥の横で寝たよね…?


元通りになった瑠那が目を覚まして、大きな悲鳴をあげたのは言うまでもないだろう。

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母親の再婚相手の娘が学校一の美少女姉妹で焦っています。 なべつかみ @nabetsukam1

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