第23話 入れ替わった不思議な一日

(このストーリーは瑠那が、柚羽と入れ替わった所から始まります。今度は瑠那視点です。)


ある日の朝、私、安藤瑠那はベッドの上で目を覚ました。


今日は月曜日。お兄ちゃんに彼女がいると知ってから、最近お兄ちゃんと中々コミュニケーションをとれずにいた。何を話せばいいのか分からないのだ。


今日こそは久しぶりにお兄ちゃんと一緒に帰ろう。そう思いながらベッドから体を起こす。


しかし、ベッドから出てからある違和感に気付く。この部屋、私の部屋じゃない。


家具の配置や、着ている部屋着、それに何より、ベッド付近に置いてあったスマホの機種が違った。


時間が気になり、スマホの画面を見ると、なんとそこには私のお兄ちゃんと一人の女性が笑顔で映っているロック画面が映し出されていた。


そこで私はようやく知る。この部屋、お兄ちゃんの彼女の部屋だ!と。


試しに部屋から出ると、本来なら隣にお兄ちゃんの部屋があるはずなのにそこには部屋が無かった。間違いない、どうやら入れ替わっている。


「どうしよう…」


学校を休むという考えもあったが、今の私はお兄ちゃんの彼女。勝手に休む訳にもいかない。べ、別にお兄ちゃんと学校でイチャイチャしたいからとか、そんな事は思っていない。


ハンガーラックに掛けてある制服に着替え、すぐに朝食を食べ、学校に向かう準備をする。


本当はお兄ちゃんと学校に行きたいけど…この家から自分の家までの道のりが分からない私は仕方なく、一人で学校に向かった。


その頃、瑠那になった柚羽が優弥と一緒に学校に向かっている事など、柚羽になった瑠那は知る由もない。





面倒な授業が終わり、昼休み。俺は柚羽と一緒に屋上に向かい、お昼ご飯を食べていた。


しかし、何だか今日は柚羽の様子がおかしい。屋上に行く時もがっつり俺の腕組んでたし、俺の肩に頭乗せてたし。周りの目、きつかったなぁ…


食べている時もいつもの柚羽とは違い、「ねぇ〜、あ〜んして?」と、とても甘えたがりな性格になっていた。まあ、それはそれで良いんだけどね。


更には、いつもの柚羽なら絶対に言ってこないであろう、「キスしたい!」という、とんでもない発言をされた。まあ、結局キスはしたんだけどね。


とにかく今日一日は不思議だった。まるで俺の妹と彼女が入れ替わったみたいだった。





今日は最高の一日だった。朝は一緒に学校に行けなかったからちょっとショックだったけど、お昼はたくさんあ〜んしてもらっちゃったし、それに…キスまでしちゃった♡


この体はお兄ちゃんの彼女だからちょっと複雑な気分だけど…キスしたのは事実だし!もう大満足!


そう思いながら、私はお兄ちゃんと一緒にお互いの家に帰った。


その一方、瑠那になった柚羽は不服そうな表情で一人家に帰っていた。


今日は全然楽しくなかった。授業もつまらないし、朝は一緒に学校に行けたから良かったけど、帰りは知らない同級生の男子から告白されるし。もちろん、しっかりとお断りしましたけど。


いつになったら元に戻れるんだろう…そう思いながら瑠那になった柚羽は家の玄関のドアを開けるのだった。





次回、柚羽、動きます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る