第22話 妹は入れ替わっている

ある日の朝のこと。私、福尾柚羽はいつものようにベッドの上で目を覚ました。


今日は月曜日。また憂鬱な学校生活が始まる。だから私は週の中で一番月曜日が嫌いなんだ。


でも私の好きな優弥くんと一緒に学校に行き、一緒に家に帰れると思うとそれだけが幸せだ。


思い切って告白した時はまだ心を開いてなかったのか、あまり一緒にいても楽しそうじゃなかったのに、最近は優弥くんの方から色々と来る感じがする。


そろそろ、くん付けはやめて’’優弥’’って呼ぼうかな…


そんな事を考えていると、もうベッドから起き上がる時間だ。


「うっ…」


私はいつもよりやけに軽い体を起こし、ベッドから出る。


そこで、ある違和感に気が付く。あれ?ここ、本当に私の部屋?


よく見るといつもとは違うベッド、いつもとは違う机の場所、そして何より、身に付けていた部屋着が違った。


「え…?何これ…」


気になった私は、普段の部屋には置いていない全身が映る鏡の前に立つ。


「え……えぇ!?」


そこで私は気が付く。私、優弥くんの妹ちゃんになってる!と。


どうしよう…つまり今の私は優弥くんの妹の瑠那ちゃん。瑠那ちゃんはきっと私になっているのだろう。


とりあえずクローゼットに掛けてあった制服に身を包む。


ある程度身だしなみを整えた後、リビングに向かおうと部屋を出る。すると、


「おう、おはよう瑠那」


「え!優弥くん…」


「ん?優弥くん?」


しまった、今の私は優弥くんの妹、だから…


「あ、おはよう!お兄ちゃん♡」


「お、おう…」


思わず猫なで声のような甘い声で挨拶してしまった。引かれてないかな…大丈夫かな…





「行ってきまーす」


いつものように俺、田代優弥は柚羽と学校に行くために早めに玄関に出ようとすると、後ろから瑠那が呼んできた。


「お、お兄ちゃん!」


「ん、どうした?」


「今日、一緒に学校行かない…?」


え?瑠那のことだから、俺が毎朝柚羽と登校してる事は知ってるはず…


しかし、お願いをしてくる瑠那はいつもより声が優しく、なんかいつもとは違う別の可愛さがあった。


「ああ…いいよ、一緒に行こうか」


二人で外に出ると、いつもならそこにいるはずの柚羽がいない。


あれ?何だか今日はおかしいな…そう思いながら瑠那と学校に向かう。





何とかお兄ちゃん改め、優弥くんと一緒に学校に行くことができた。できたのは良いんだけど…


妹だからか、全然優弥くんが話しかけてくれない!てか妹でも何かしら会話はするでしょ!もしかして優弥くん、姉妹と全然会話してないの…?


こうなったら、いっその事優弥くんを困らせてやろう!そう思った私は優弥くんに思いっきり抱きつく。


「お兄ちゃん!」





妹と一緒に学校に行くのは久しぶりな俺は、しばらく続く沈黙に耐えきれずにいた。


どうしよう…何話そう…そう困っていると、いきなり瑠那が「お兄ちゃん!」と言って抱きついてきた。


いや、本当にどうした瑠那さん!?いつもよりもスキンシップ激しいんですけど!?てかいきなり抱きつかれるのは怖いし…周りの視線が痛いよ…


周りを見ると、案の定男子が今にも俺の事をナイフで一突きしてきそうな顔でこちらを見てきた。やめてよ…俺は何も悪くないよ…


まるで別人のような瑠那と一緒に、俺は学校に到着するのだった。






次回、柚羽になってしまった瑠那視点からスタートしようと思います。


中々更新出来ていなくてすみませんm(__)m

先週は作者の都合上、全く執筆する事が出来ませんでした(´×ω×`)


今週からは更新頻度あげますのでよろしくお願いいたします!


なお、新作の方ですが、このストーリーが落ち着いてから公開開始しようと思いますのでそれまでお楽しみに!

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