河西泰一 25歳
河西泰一。25歳の会社員。
今日は娘の2歳の誕生日だ。
そう。これが今回の話のオチだ。アイツは、ピルをまだ飲んでいると嘘をついていた。しかもそのまま妊娠したというのだから驚きだ。
だからこれはいわゆる「できちゃった婚」な訳なんだけれど、しっかり幸せにやっている。
犯罪者の娘という条件も、幼馴染みで元々家族ぐるみの関わりがあったことから難なく突破できた。
ただうちの両親は薫子の代わりようにびっくりはしていたけれど。
なにより娘も嫁も可愛い。これが答えだし、覆ることもない。
「パパ、2歳の誕生日こそは桜の前でさくらちゃん撮ろうって約束まさか忘れてないよね?今年は遅咲きだし」
さくらちゃんってのは娘の名前、4月31日生まれなのにさくらだ。これはママ…薫子の「4月ならさくらでしょ!」という一言から。ちゃんと否定したんだよ?ギリギリ桜の季節過ぎてるよって。
それで去年の誕生日に桜並木の前で撮りたいというママの願望が現れたのだが、去年は雨で既に散ってしまっていて…
それで今年というわけだ。
「じゃあ哲学堂公園でいい?」
「オッケー」
ママが抱っこ紐でさくらを抱っこする姿は、それはもう、あの時…19歳の時とはまるで違う、抱擁力のある笑顔だった。
「行こっか」
少女の終わり 飯田三一(いいだみい) @kori-omisosiru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます