第7話
晩餐の時間が近づき訓練を途中で終え晩餐の準備を始める。ここの晩餐は少し違い一回の大きな部屋で御主人様達そして使用人全員が一緒に食事する。そしてその食事を終えお嬢様は寝る前にお風呂に入る。この時の私の仕事はお嬢様の髪の毛をブラッシングをして一度別れる。お嬢様が脱衣所で服を脱ぎお風呂に入るまでの間にお嬢様の部屋のベットの整理、屋敷中の戸締りの再確認そして着替えの服を脱衣所に準備室脱衣所の前の廊下に待機すること。私がシャワーを浴びるのはお嬢様が眠ったあとである。そう脱衣所の籠に服をいれていると。
「ティルフォいる?」
浴場からお嬢様が話しかけてきた。浴場は少し広い為少し反響しており水の音もよく聞こえる。
「何でしょうかお嬢様」
「いるのね。先のお願いの件覚えてる?」
「ええ、まあ。今何かお願いなさるのですか?」
「そうよ。とりあえず中に入りなさい」
「はい…って、え? 冗談ですよね」
「そういうの良いからとりあえず。入ってきなさい。今お湯につかっているから見えないわよ」
「先のようにカメラでとって脅すようなことは…」
「ないわよ」
「わ、わかりました」
とりあえず上着を脱ぎ埃などがついてないか軽く全体をはたき服が濡れないように裾を捲り上げ目を閉じて恐る恐る浴場に入る。浴場の中は湯気が漂っているのもあり空気が温かい。そして微かに花のような甘い香りも漂う。もちろん床は濡れており歩くたびに一歩一歩足音がよく聞こえる。
「目をつぶっていると危ないわよ。大丈夫だから目を開きなさい」
「ほ、本当に大丈夫なんですね?」
「ええ、大丈夫よ」
恐る恐る目を見開くとアルネアはティトが向いてる方に体を向けお湯に浸かり横目でこちらを見ていた。確かに見えてはいないがそれでも少し隠そうとしようと気は無いのだろうか。
「さて、おねがいの件だけど…」
「は、はい」
ここでお願いするの?一体何をさせられるのだ。
「髪代わりに洗ってくれるかしら」
「髪をですか、それは何で…」
「い い か ら、洗いなさい」
アルネアがきっと目を見開かせティトを睨み付ける。普通そういうのって覗かれた人がやるもんじゃないのか?
「わ、分かりました。で、でもタオルは流石に巻いてくれませんか?」
「はぁ、分かったわ。持ってきなさい」
急いでタオルを持ってきて出口の方を向きながらアルネアに差し出す。体に巻き終えたのかひたひたと地面を鳴らし歩き浴場に置かれた椅子動かしたのか音を鳴り座る。
「ほら、早く洗いなさい」
「分かりました…」
アルネアの傍に行きその後ろ姿を見る。いつもは大きく感じていたその背中だがよくよく見ると小さく細い少女の体だ。髪の毛は濡れているためかなりまとまっていてそのせいで背中がしっかりと見えてしまう。タオルは巻いているが濡れて薄いせいか肌に張り付き体のラインがしっかりと見えてしかも少し透けて肌そのものが見えてしまっている。肩甲骨と背骨のラインそしてお尻の形までしっかりと…
顔を強く両手で抑え一旦深呼吸を行い仕事に取り掛かる
顔に余りお湯が行かないように手で塞ぎながらしっかりと頭皮と髪全体が潤うように手ぐしをしながら予洗いをする。
「お嬢様何でこんなお願いを」
「何でって まあ気分っていうのもあるけれど。貴方との時間を増やしたいだけって言ったらどうするの?」
「いや、それは嬉しいですが。それでもお風呂は一人で入った方がいいかと」
「あら、どうして?貴方の主でしかも女性と一緒にお風呂を共にできるのよ。ご褒美と思ったらいいのではないのかしら」
「そうかもしれませんが…」
「もしかして私に不満があるの?」
「いえ、それはないですけど」
「そ」
お嬢様の今考えていることがさっぱり読め合い…いやいつものことなのだがこうして浴場をしかもタオル一枚のお嬢様と一緒にいること自体が初めてであるし。そもそも従者とお嬢様が一緒に浴場にいていいものなのか?お嬢様の外見はかなりの美形だ。普通の男なら理性なくして襲い掛かるとかそういう危険性を考えていないのだろうか。私だから…私でもぎりぎり理性を抑え込んでいるのですから。もっとこう危機感というものをですね。いやむしろ誘っているのでは。そんなわけないと自身の中で一人脳内会議を行う。
しっかりと余洗い済ませ台に置いてあるシャンプーを手によくなじませる。
「では、シャンプーしますね」
「ええ、おねがい」
シャンプーやブラッシング等はジルベルダさんに教わった。もしもの時があったらと教え込まれたが本当に役立つときが来るとは思わなかった。お嬢様の髪の毛は長くとても綺麗で、正直私がこうして洗っていいものなのか躊躇してしまいそうになる。
「ねえ」
「なんですか、お嬢様」
「貴方は私の事どうおもってるの」
「そうですね。私達の命の恩人であり皆に尊敬される素晴らしく素敵で立派なお方だと思っておりますよ」
お嬢様は毎日この質問をかけてきてそしていつも通り尊敬していると答えるのだが。
「そうではなくて…」
いつもと同じような回答をしたのだがいつもとお嬢様のようすが違う…どうしたのだろうか
「いいえ、なんでもないわ」
急にアルネアが立ち上がる。
「どうしました、お嬢様」
「いいわ、後は私一人でやるから外で待ってなさい」
「わ、わかりました」
あれ、少し機嫌が悪い何か間違ったこと言っただろうか。
ティトは急いで手の泡を流して浴場からでる。
ここからの仕事はお嬢様が下着を着てから寝間着を着るのを手伝いドライヤーを用いて髪を乾かす。いつもならお嬢様から色々と話しかけてくるのだが今日は黙っている。気まずい空気の中でもとりあえず仕事をこなす。
お嬢様が寝室でベットの中に入るまでを確認するのも仕事にはいいているのだが、お嬢様は毛布の上に大の字で横になる。いつものお嬢様なら小一時間は本を読むのでそれに付き合いお嬢様が眠るのを待つのだが…。
「お嬢様ちゃんと毛布をかぶってください」
「別にいいじゃない」
「ダメです。風邪をひかれては困ります」
「わかった、わかったから貴方も部屋に戻って寝なさい」
仰向けだったアルネアがそっぽを向くようにティトがいない方に寝返る。
これ以上言うのはストレスを与えかねないか
「では、私も寝させていただきますので。お嬢様ちゃんと毛布をかぶってくださいね」
「…」
「はあ、では失礼します。おやすみなさい お嬢様」
お嬢様が少し心配だが、それでも自身健康管理も大切だ。お嬢様がたに迷惑をかけてはいけない。素早くシャワーを浴び明日に備えてすぐに寝る。こうして新しい業務はあったが私の一日の仕事を終えるのだ。
またですか!? 何でも拾ってきちゃうお嬢様と貧民街上がりの従者見習い KIKP @KakiImokennP
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