第2話

夏休みが終わった。

今日から新学期か。ネクタイ縛るの久しぶりだな。

いってきます。俺は誰もいない家に向かって言った。


通学路を歩いていると、肩をたたかれた。

誰だろうと思い振り返ると、なんとスズナが少し拗ねた顔で俺を見上げていた。

ところで、なぜ呼び捨てかというとあの後

「同い年なんだから、名前を呼び捨てで呼んでね。」と笑顔で言われたのだ。あの笑顔には逆らえない。だから仕方なく名前で呼んでいるのだ。


「なんで拗ねてるんだ?」純粋な疑問だった。3秒ほど間を開けてからスズナは言った。

「私を置いていったじゃん。」とさらにムスッとした。

「ごっごめん。でも一緒に行く約束なんかしたっけ?」

「してなくてもお隣さんだったら一緒に行くでしょ。」

えーなにそれ、かわい…

「でも転校初日だろ。お兄さんと行かないのか?」

俺も中学の時に、転校したことがあるから分かる。

「お兄ちゃんは仕事だし、スズナ、高校生だし大丈夫でしょって言われた。職員室までは来てほしかったんだけどね。」

俺も分かるな、この心細い感じ…。よしっ

「俺が、職員室まで案内してやろうか?」

「ほんとに!?ヤッター!ありがとう、繫君。」

言ってよかった。


案内をしながら俺は聞いてみた。

「ところでお前、なに部に入るんだ?」

「特に入る予定はないかな。」

「この学校は絶対どこかの部に

マジか、勧誘のチャンス!

「漫画好き?」

「ッ...まあ好きだよ。」

今の間は何だ? ここは引かないわけにはいかない。

「漫研入らない?俺、漫研の部員なんだけど、廃部寸前で。」

「えーでも、オタクっぽくない?」

「いやいや、一人すごいおしゃれな女子いるから。」

これは本当だ。一人、読モをやってる女の子がいる。でも少し変わり者だ。どう変わってるかというと、すんごい少年漫画が好きなんだ。

漫研には漫画オタクがたくさんいるが彼女は、部内一だ。

「そうなの.... じゃあ見学だけ!」

見学には来てくれるぞ!でかしたぞ俺。


スズナは、職員室で先生と話があるらしいから俺は先に教室へ戻った。

俺が教室に入った途端静かになった。何だ?と思いながら窓際の自分の席に着くと、

「お前、何であんなかわい子ちゃんと登校してるんだよ。」

クラスの中心人物、人気者の六田が目の前に来た。陰キャの俺とはほど遠い

ここは無難に、

「うちの隣に、引っ越してきてたまたま学校が同じだったから一緒に行っただけだよ!」

「ほんとか?」

俺は首を縦に力強く振った。

「ならいいよ。」

六田は、自分が一番モテてないと気が済まない男なのだ。

めんどくさい。


それじゃあ、今日も一日頑張るか、





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隣に引っ越してきた美少女がかわいい。 大河原リン @sareeee31

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