ステージ06 本日最終枠、キス納め!
願いは、叶う。何だって!
一緒にご飯食べたい。
食べた!
坂本くんが家族想いだってことが分かった。
一緒にお風呂に入りたい。
入った!
坂本くんは信じられないほどシャイ。
一緒にキスしたい。
した!
これは、もはや日常。
願いは叶った! 3つも叶った。
一緒に寝たい。
これって、ハードル高くない?
そろそろ22時近い。
撮影の準備に取りかかったの。
浴衣、段ボールに詰め込んだはずなんだけど
どこにあるのやら……。
「まるで、倉庫みたい……。」
「えっ、倉庫なら別にあるわよ」
ここにあるものは、私物のほんの一部。
ほとんどは倉庫で眠っている。
「すごいね、こんなにたくさん……。」
「そうなの。倉庫代がかさむって、社長が嘆いていたわ」
「そうだろうね。とりあえず、探そう!」
浴衣を探して、段ボールを漁る。
坂本くんと同じ部屋。
坂本くんと同じ作業。
それだけでも幸せ!
撮影は浴衣でバッチリ決めたい。
けど、なかなか見つからない。
代わりに見つかったのは、わけの分からない衣装ばかり。
「あーん。これも違うわ……。」
「なっ、なんだ。その、セクシー衣装は……。」
「これ? 黒のバニースーツだと思うよ。着てみようか?」
「いっ、いや。いいよ……。」
何? 今の坂本くんの反応は?
ひょっとして坂本くん、私のこと呆れてる!
「仕方ないでしょう。いただいたものなんだから……。」
「そっ、そうだよね……。」
いや、照れてるのね。
坂本くん、照れてるのね!
そんなに顔を赤らめて。
私まで恥ずかしくなっちゃう。
隠さなきゃ。
恥ずかしいって気持ち、隠さなきゃ。
「あーっ、今、変な想像してるでしょう?」
「しっ、してないよ」
よし、図星だ!
「本当? じゃあ、何か考え事でもしてたの?」
「あっ、あぁ。そうだよ。ちょっとした考え事だよ」
「ふーん。何考えてたの?」
「それは……秘密……だよ……。」
なにそれ! 知りたい。心から知りたい。
だからショートキスをした。
「秘密はよくないよ。おしえてっ!」
「黒バニースーツを着た山吹さくらの写真が撮りたいです」
「そう。じゃあ、いいよっ!」
勢いでいいよって言ってしまった。
坂本くんの前でバニーなんて、本当は恥ずかしいのに……。
それからも、浴衣は見つからなかった。
代わりに数々のセクシー衣装が発掘された。
「あら、これは藍色のジャージじゃない」
「こっちは、ピンクのテニスウェア」
「チャイナドレス」
「レースクイーンのレオタード」
「チアダンサー」
「小悪魔と天使」
「なっ、ナース服と女医さん……。」
「あっ、ミクミク。ウィッグ付き!」
「エプロン、だけ?」
まるで、仮装パーティーの見本市のよう。
それらは全て撮影の対象ということになってしまった。
だって坂本くんったら、グイグイくるんだもの。
写真撮りたいなんて言われたら、断れない。
あっ、私がショートキスしたのがいけないのか……。
ふと時計を見ると、もう23時をまわっていた。
「もう時間がない。今日のところは諦めよう!」
「そんな。私、坂本くんに撮影してもらいたいのに……。」
「でも俺、0時までに帰らないと!」
「どうして、0時までなの?」
「それは……秘密……だよ……。」
その秘密、今までとはレベルが違うわ!
私は、慌ててショートキスをした。
今回は、少し長めに。
「秘密はよくないよ。おしえてっ!」
「それはもちろん、山吹さくら出演番組を見るためさ!」
なっ、なにその理由。かわいい。
坂本くんのこと、絶対に手放したくない。
今夜は帰さないんだから!
「じゃあ、家で一緒に見よう。帰るのはそのあとでいいでしょう、ねっ!」
「はいっ。そうさせていただきます!」
よしっ! このままお泊り、お泊り!
浴衣は諦めた。
というよりも、もはや不要。
別の衣装で撮影することになった。
「こうなったら、巫女装束とメイド服に絞ろう」
あら? どうしてあれがないのかしら……。
バカ兄貴は大好物だったのに。
はっ、坂本くん、きっと遠慮してっ!
私が背中を押してあげないと。
「分かったわ。巫女装束とメイド服と、下着エプロンね!」
決まった!
坂本くん、遠慮は無用ですよ!
「えっ?」
「いや、だから。巫女装束とメイド服と、下着エプロンでしょう!」
「ちっ、ちが……。」
違わないわっ!
坂本くん、もっと素直になって!
そのためには、山吹る必要がありそうね……。
キスのあと、坂本くんは本当のことを言ってくれた。
そして、下着エプロンで撮影することになった。
正直者ねっ、坂本くん!
いよいよ、キスからはじまる撮影会も、本日の最終枠!
モデルは私。
撮影は坂本くん。
2人で新時代を築く!
坂本くんったら、そんなに急かさないで。
夜は長いのよ。
さっきは1時間。
今度はあっという間の30分
あと5分ってところで思ったの。
物足りないって。
だから私は悪戯することにしたの。
ふと、しいちゃんがしてきたことを思い出した。
自分からってのは、やったことないけど。
坂本くんが相手なら、やってみたい。
試してみたい。
私の中で、興味というものがどんどん膨れ上がった。
こんなことしたら、私たち、どうなってしまうの?
これは、私たちなりの舌戦だった。
キスが終了。
その瞬間の坂本くんは、多幸そうな顔と苦悶そうな身体だった。
いけない。放っておいたら、坂本くんが干からびちゃう。
全部出しちゃう。
それだけは、させちゃダメな気がしたの。
ちょっとだったらかわいいから、良いんだけど。
「坂本くん。頑張って!」
お願い、我慢して……。
「うぉおーっ! 俺は……写真を……撮るんだ……。」
「そうよっ。貴方は、私を写すために生まれてきたのよ!」
「そうだ。そうだとも。おれ、この刺激に耐える。耐えてみせる!」
「さすがよ、坂本くん。その息よ。頑張って!」
あとは撮影を楽しむだけ!
最初の衣装はメイド服。
「おかえりなさい、ご主人様!」
「ただいま!」
よしよし。これでここはもう、坂本くんのおうちだよ。
2つ目の衣装は下着エプロン。
坂本くんの構成力、素晴らしいわ。
メイド服からの下着エプロンって。
次、どうなるって、誰でも思うわ。
「坂本くん。ご飯にする、お風呂にする? それとも、ワ・タ・シ?」
ぶっちゃけ、どれでも良いわ。
「ワタシがいいです!」
「うん。いいよっ! じゃあ。あとで、ねっ!」
坂本くん、大分素直になったわ!
撮影は順調、順調!
次は巫女装束。
下着エプロンとは対極の存在。
とっても楽しみ。
私は、今風の着こなしをした。
けど、坂本くんはお気に召さなかったみたい。
「さくら、それじゃあ衣装がかわいそうだよ……。」
「えっ? どういうこと?」
「上衣の着付からなっちゃいない!」
「えーっ。これじゃ、だめー?」
「だーめっ!」
そっ、そんな。
私は、山吹さくらよ。
ここまで正面切って私のこと否定するのなんて、社長でもしたことないのに!
坂本くんはグイグイきた。
言葉ではないけど。
否定してなぜ悪い。否定もされずに1人前になったものがあるか!
そう言っているようだった。
「じゃあ、教えてっ……。」
「えっ?」
「巫女装束の着付け、教えてっ!」
「はい。そういたします!」
あぁ、よかった。いつも通りの坂本くん。
さくらのリクエストに応えてくれる坂本くん。
坂本くんの着付け指導は的確だった。
それだけに私は面食らってしまったの。
「さ、坂本くん……今、私の身体に……。」
身体とは言ったけど、そこって、おっぱいだからね……。
「上衣は、おっぱい2個分のゆとりを持たせた方がいいんだ」
「あはっ。そこには……布が……。」
「帯の上端は、おっぱいに当たるくらいがちょうどいいんだぞ!」
「……。」
「よしっ、これでぼいんぼいんだっ。次いこう!」
「……。」
坂本くんが、私を270度回転させた。
「うーん。もう少しこう……お尻をだな、突き出すようにしてくれ!」
ジェスチャーを交えて説明してくれた。
その格好、ちょちょ恥ずかしい。
「っこっ……こう……かな……。」
「うん。上出来だ!」
あはっ、褒められたっ。
うれしいわ!
「そっ、そう。ありがとう……。」
坂本くんが、最後の仕上げをしてから言った。
「どう? 身が引き締まるのを感じないかい?」
「……えぇ。とっても清々しい気分よ。それに……。」
「それに?」
「ううん。何でもないの!」
「かっ、隠し事はよくないよっ!」
「だめ……この気持ちは……秘密……なのっ!」
「えーっ……。」
「坂本くんが直に私の肌に触ってくれたのがうれしいなんて、言えないもの……。」
「おっ、俺。さくらに触った……ごっ、ごめん。いやらしい気持ちじゃないから」
「うん。そうみたい。もしいやらしい気持ちだったら、私……。」
「だったら……。」
「ううん……この気持ちは……本当の……ヒ・ミ・ツ!」
「はいっ!」
着付け終了。
撮影も順調だった。
「じゃあ、番組は一緒に観ようね、坂本くん!」
「はっ、はいっ!」
======== キ リ ト リ ========
このあと、佐倉を襲うモノが現れます。
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よろしくお願いいたします。
【スタジオ06 本日最終枠! キスからはじまる撮影会】のURL
https://kakuyomu.jp/works/1177354054896587067/episodes/1177354054897126491
【ステージ07 こんなに苦しいお泊りはない】のURL
https://kakuyomu.jp/works/1177354054896587067/episodes/1177354054898294002
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