第12話 優しさの理由(中)

「ですので、これは貴女が気に病むことではないのです。システムに欠陥があったことを見抜けなかった私は勿論、野盗を放置していた国や、そもそも野盗に成ってしまった環境を形成していた大人たち……辿っていけばあれは世界全体で責任を負わねばならない出来事で――」

「えっと……はい!お気遣いありがとうございます。私はもう大丈夫です!」

「――あら?」


 いつにも増して賑やかな夕食時。空間を波立たせ、不意に顔を出した梅紫の管理者と、世界を一度滅ぼしかけた少女の会話である。

 どうやら管理者の彼女はずっとテレストラへのフォローを考えていたらしい。結果的には数時間の差で不要になってしまったが、少女にとってはその気遣いが嬉しいようだ。


「お、思ったより元気そうね……良い事だわ。それとも、貴方たちといるのが楽しいのかしら?」

「そうだとこっちも嬉しいな。ところで、アンタも何か食ってくか?」


 テーブルの真ん中にはちらし寿司。それを囲うようにいなり寿司、刺身、天ぷら、たこ焼き、焼きそば、ハンバーグ、から揚げ、コールスローサラダ、ポトフ、海老グラタン、エトセトラエトセトラ……。和洋関係なし、カロリー関係なし、手作り出来合い関係なし(おまけに机の端にはチョコレートファウンテンである)に机に並べられているそれらは、優護の目からすると半分以上桜子がヤケを起こしているのではないかと思えてならないが、知識でしか知り得ないサラとテレストラ、そもそもこちらの知識がないフィエリには、大層なご馳走に見えているようだ。


「いえ、折角ですが遠慮しておきましょう。これでなかなか管理者とは忙しいのです。スメラルドもあれから顔を見せないでしょう?管理者にもよりますが、彼女や私は世界の運営をほぼほぼ自分の手で行いますから、暇な事なんてほとんどないのですよ」

「という事は、他の何かに任せてる管理者もいるのかしら?」


 耳ざとく会話に入ってくるのは一休み中の五条桜子。アメティストは少々驚いた顔になるが、すぐにその鈴を転がす様な声を響かせる。


「ええ。例えば神、と貴女方が呼ぶ存在ですね。彼らはこの世界においては"世界の余白"に身を潜ませていますが、人類の発展に未だ必要と管理者が判断した世界でならば、それこそ神話のように人々を管理し、時に試練を、時に恵みをもたらして共存していることでしょう」

「世界の余白?」

「はい。どう例えるべきでしょうか……。そうですね、例えば人類の歴史を一冊の本に記された文章だとすると、当然、その本には文字が記されていない余白の部分も存在しますね?人類と同じ世界に確かに在りながら、けれども関わることのあり得ない領域。人類という文字には決して触れず、しかし確かに存在する人類の未踏領域……というよりは、これからも踏み入ることはあり得ませんから無踏ぶとう領域とでもいいましょうか。ともかく、それが世界の余白です」


 桜子はなんだか興味深げに頷いているが、優護は早々に理解するのを諦めて――というよりも、ハナから興味がなかったのでテレストラとたこ焼き作りに興じている。


「姉ちゃん、忙しいってんだしあんま引き留めるなよ?」

「わーっ!優護くん見て見てキレイにひっくり返せた!!」

「……そうね。気になることはまだあるけど、また別の機会にするわ。ありがとう、アメティストさん」

「いえ、ふふ。こちらこそあまり上手な説明が出来ずに申し訳ありません。それでは、私はこれで失礼しますね」


 無邪気な声に頬を緩ませた桜子とアメティストが挨拶を交わして、室内の人数が5人に戻る。

 それからしばらく、賑やかな声が五条姉弟の部屋を暖めた。



     *



 午後9時。どうしても、と譲らないサラに根負けした優護が2人で食器を洗っていると、浴室の方からは時折フィエリの悲鳴と桜子の笑い声が聞こえてきた。

 男女で入浴のタイミングをずらすのは当然ながら、そもそもが一度に何人も入れるような広い浴室でもないため、女性陣も2度に入浴が分かれることとなる。シャワーやボディーソープなど、全くの初見であるフィエリとこちらの住人である桜子が第一陣。知識は与えられているサラと、何度か経験しているテレストラが第二陣。そして恐らくは、散々遊ばれて湯船の水量が腰の辺りまでしか残っていないだろう第三陣が優護である。


「いやぁ、悪いな。お客さんなのに」

「いえいえ!あんなに色々と準備してくださって……とても嬉しかったので、これくらいは」

「そっか、なら良かったよ。こっちも準備した甲斐があった。テレストラもありがとな」


 えへへ、と笑うサラが洗い終わった食器を、横で布巾片手に構える少女へと渡す。

 サラが優護の手伝いをすると聞いて、テレビの前からとてとてとやってきたのだ。


「ううん。いつも楽しいから、そのありがとうなの。明日からもお手伝いはあたしに任せて!」

「――ああ。わかった、よろしく頼むよ」


 夕方以前とで、やはり少女の雰囲気が少し変わったことを感じた少年が笑顔を見せる。

 その後も夕食の後片付けをしながら他愛のない会話をしていると、やがてグッタりとした様子のフィエリと、満足げな表情の桜子が戻って来た。


「お風呂上がったわ、次どうぞ♪」

「ゆうごぉー、お水頂戴……うぅ、あっづ~い~……」


 どうやら姉が迷惑をかけたようであるので、折角ならばと水ではなくスポーツドリンクをコップに注いで渡すことにする。


「悪いな姉ちゃんが迷惑かけたようで。水よりちょっと甘いのにしてみたから、まあ飲んでくれ」

「ありがと。別に迷惑なんかじゃなかったけどね……」


 アハハと力なげに笑うフィエリがぐい、とコップの中身を一息で飲み干す。

 一方で彼の物言いに少々不満気な桜子が、反論しようとするも口を開く直前、テレストラがその金髪を揺らして大きな欠伸をしているのを見つけ、つい毒気を抜かれてしまう。


「ふわぁ~」


 桜子は勿論、その視線に釣られた優護とフィエリ、更には隣に立っていたサラ。都合4人。部屋に居た全員の視線を浴びながら可愛らしい大欠伸を披露したテレストラは、見る見る顔が赤くなっていく。4人の視線はどれも"微笑ましいものを見た"と言わんばかりに穏やかなものなのだが、それはそれとして彼女自身の羞恥心には火が付いたようである。


「ごっ、ごめんなさい!お風呂入ってきまぁす!!」

「あっ、待ってテレストラちゃん!」


 恥ずかしさのあまり部屋を飛び出していったテレストラを慌ててサラが追いかける。サラは知識でしかこちらの風呂を知らない為、先輩であるテレストラと共に入浴せんと少々必死だ。

 2人の足音がバタバタと洗面所兼脱衣所へと消えていくと、リビングには一瞬の静寂が訪れる。


 と、そこが話を切り出すのに丁度良いと判断したフィエリが、いささか神妙な声音で話し始めた。


「……うん。実はね、私たちからも改めてお礼を言わせて欲しいの。優護と、桜子さんに」


 私たち、というのはフィエリとサラの姉妹のことだろうか。

 その2人からのお礼となると、この間の事件以外はあり得ないだろう。思い出させまいと、テレストラが席を外すタイミングを待っていたのかもしれない。


「へ?いや、いいってそんな……」

「そうじゃなくて!勿論世界を救ってくれたこともだけど、その後のこと」

「その後?」


 "その後"という言葉に2人が首を傾げる。


「そう。あの一件で傷付いた人々を、アメティストさんからの報酬使って癒してくれたでしょう?その中にね、私の両親もいたの」


 フィエリの言う両親。それはつまり、円形水壁都市オールスの領主である人物と、その妻を指す言葉だ。あちらの世界に滞在したのが約16時間。その内リール邸に居た時間となると、せいぜい2~3時間ほどとなる。非常時かつ極短い滞在期間である為、特に顔を合わせることが無くとも姉弟は違和を覚えることはなかったのだが、まさかそんな事になっていたとは露程にも思っていなかった。


「そう……大変だったわね。非常時だったし、顔を見せないのは何かあったんじゃと思ってあの時は聞かなかったのだけど、結果的にゆー君の報酬が役立って良かったわ」


 訂正である。

 どうやら桜子は何かしら察していたようで、露程にも思っていなかったのは五条少年だけの様だ。


「はい!……本当に良かったです。ほとんど飲まず食わずで1週間、いつ終わるとも知れない災害の対応に追われてて……もう若くないんだからっていう母の言葉も聞かないで。なんだかんだで母も父に付き合って……食料や避難所の確保、王都への救援要請、オールスの治安維持……と、これはまあ手がかからなかったそうなんですけど、他にもいろいろやってたら遂に2人して倒れちゃって―――」

「立派なご両親ね。……道理で、オールスに暮らす人々が厚い信頼を寄せているのが、短い時間でもハッキリと伝わってきたわけだわ」


 明確に言及されるのは気恥ずかしいのか、桜子の言葉にやや顔を赤くしたフィエリがいやいや、と顔の前で手を横に振る。


「そんな良いとこばかりじゃないですよ!作戦会議の時に"用事がある"って一度席を外したじゃないですか?あの時少し状態が良くなってて、幾らか話も出来て"心配をかけてすまんな"なんて言ってたのに、いざ治ればサラや屋敷の人たちに散々心配かけておきながら途端に街の様子見に行こうとするんですから!!で、もう大丈夫だって桜子さん達の話をしたらあのおじさんいい歳して大声で泣くんですよ、誰も死んでないのか~良かった~、その姉弟に会いたかった~って!!!お母さんもお母さんで隣でそうねぇ、って笑うだけなんですよ!?」

「うんうん。とても優しい人たちじゃないか」


 ひとりでにヒートアップしていくフィエリがなかなか面白いのもあり、つい優護も口を挟んでしまう。とはいえ、その言葉は勿論本心からのものだ。もっとも、当のフィエリには追い打ち以外の何物でもない。"父"、"母"と呼んでいたはずが"あのおじさん"、"お母さん"と呼んでしまってるところから、思春期真っただ中17歳の精神が限界を迎えようとしているのは明確である。両親を真っ直ぐに褒められるというのは、まだ今の彼女が正面から受け取るにはいささか恥ずかしいのだ。

 次にまた反論しても墓穴を掘るだけだと察したフィエリは、潔く話題を切り替えにかかる。


「まぁ、そうね。優しい……うん、確かにまぁ優しいかな。……まあ?そんなに凄いアレでもないんだけどまぁそうね。そう」


 しどろもどろに話題を切り替えにかかる。


「あっ、そうそう!それで、あのおじ……コホン。父がね、是非桜子さんと優護に会いたいって言ってたの。だから次は、私たちに是非あっちの世界を案内させてくださいね」


 そう言ってニコリと笑顔を見せるフィエリは、そこだけ見るとまるで良家のお嬢様だ。

 まるでも何も実際良家のお嬢様なのだが、普段の彼女の振る舞いは(勿論いい意味で)それを感じさせない程親しみやすいのだ。


「おぉ……そういやお嬢様なんだよな」


 だからと言ってそれをそのまま口に出すのは、賢明とは決して呼べないのだが。


「どぉ~~~いう意味かしら?」


 彼女が低い声でハッキリ不満を示すと、その直後右の手のひらにリンゴ程の大きさの水球が浮かぶ。何もないところから水を生成し、それを意のままに操るこの現象は、彼女の異能"水の協心術きょうしんじゅつ"に依るものである。

 あるのだが―――


「おまッ、お前、こっちで協心術それ使えんのかよ!?」


 彼女の掌の上で徐々に極小の水竜巻へと姿を変えていく水球を見つつ、優護が素っ頓狂な声を上げる。

 それもそのはず。少年の記憶に間違いがなければ、彼女ら協心術者とは世界に存在する自然と契約を交わすことで異能を手に入れるはずなのだ。つまり言い換えれば、世界を跨いでしまうと協心術は使えなくなるわけで、実際にそれが成り立つからこそ、自然に取り込まれかけたテレストラをこちらの世界に連れてくることで助けることが出来たのだ。


「んっふっふー。驚いた?アメティストさんには秘密にしてもらってたからね~」


 ふふふ、と満足気に笑うフィエリのその顔は、悪戯っ子のそれである。普段と比べて幾分無邪気なその笑顔はなかなかどうして、見る者の心に強い衝撃を与える。例えばここにも琴線に触れた者が1人。


「その表情キュンと来た……!あっ、フィエリちゃんそのままこっちに目線お願いしまーす。パシャリ」

「……?あっ、それが"かめら"って道具ですか?」

「そうそう。これでさっきの笑顔を永久保存できちゃうんだから!」

「えいきゅう…なんかちょっと照れますねー……」


 一瞬にして(主に姉のせいで)緩い空気になってしまった為、責任を持って弟である五条少年が話を軌道修正するべく口を開く。


「待て待て待て待て!フィエリが使えるってことはテレストラはどうなるんだ!?」


 彼の疑問は当然であろう。もしかしたらまた彼女が危ないかもしれないのだ。


「ん、大丈夫よ。あの子に危ない事はないわ。ちょっと長いかもだけど、順番に説明するわね」



     *



 フィエリの話を纏めると次の通りであった。

 まず桜子がアメティストに求めた報酬である"リール姉妹が何時でも好きに両世界を行き来出来るように"といった願いを、梅紫色の管理者である彼女はどのようにして実現するかを考えた。なにせ彼女は本来世界の運営で忙しい身。好きな時に呼び出されたのでは仕事にならない。

 と、そんな時に思い付いたのだ。空間の協心術者であるサラならば、認識の拡張によって新たな能力を獲得出来るのではないか、と。フィエリが桜子のアドバイスによって水球バッグを完成させたように、サラへと管理者の持つ世界移動の理論を授けてみてはどうだろう?と。

 結果は大成功。サラは一方的にアメティスト世界から他の世界へと、トンネルを開くことに成功したのである。しかもそのトンネルを開けている間は空間的な繋がりが保証される為にフィエリのような他の協心術者も異能が振るえるとのことだ。


「なるほど。水壁をどうしているのかと思ったけれど、ちゃんと繋がっていたのね」

「はい。オールスの防壁兼観光名所ですから!それから当然、こっちの世界にいきなり繋げたらあの子に影響が出るかもしれないから、何回かよくわかんない世界も実験で覗いたりしたんです。霧に覆われてる辛気臭いとことか、こっちみたいに"びる"?が沢山立ってるとことか」


 そこまで来てしまえばアメティストの仕事も残りわずか。テレストラに影響が出ない様に"生命"への調整を行い、サラとフィエリに万が一出先でトンネルを閉じてしまった場合にアメティストを呼び出すための笛を渡す。これで桜子に提示された条件は全て満たせる事となり、晴れて彼女の仕事は完了である。

 ちなみに、夕方こちらの世界へと来たときはアメティストの力で来たとの事。彼女自身もテレストラに用があったのと、フィエリが優護を驚かせたかった為である。サラが他の世界へ空間を繋ぐ際には、"波打つというよりはヒビ割れる"そうだ。


「私はカッコいいと思うんだけどねぇ、サラってば"乱暴な感じがして嫌だー"って嘆いてて……あっ、ちなみに今は天井の近くに鉛筆くらいの大きさでトンネル開いてます。開く瞬間以外は視認し辛いんですけどね」


 話の最後をそう締めくくると、何か質問とかありますか?とフィエリは桜子の方を向く。


「……質問というよりは確認なんだけど、つまりそれってあの子はもうあっちに帰っても問題ないってことなのかしら?」

「そう……なりますね。アメティストさんが言うには、もう暴走の危険はないし、他の術者同様に自分の力として生命の協心術を正常に振るうことも出来るって」

「そう」


 桜子の返事は短く、その内心は読み取れない。


「まっ、まあでもアメティストさんもその事は本人に伝えなかったですし、あの子にとっては少なくとも当分はこっちの方が気持ちが安らぐんじゃないかとっ……!!」

「……?あぁ、ごめんなさいね。気を遣わせてしまったかしら。大丈夫よ」


 慌てて桜子を励まそうとするフィエリを見て、愛おしそうに桜子が微笑む。


「そうね、きっと……今はまだあの子はここに居た方が良いのでしょうね。でもいつか、彼女が自分の意志であちらへ戻ってみたいと思った時には、どうか貴女たちで支えてあげてくれると嬉しいわ」

「はい!それはもうまっかせて下さい!!全力で守り支えますとも!」


 確かフィエリは王国全体で見ても上から何番目という実力者だったはずなので、それが"全力で"と宣言してれるのはありがたい事だと、素直に少年は考える。


 と、タイミングを見計らったかのように廊下から軽い足音ときゃははと楽し気な声がしてくる。サラとテレストラが風呂から上がったのだろう。


「あがったよー!」

「お風呂ありがとうございました」


 どこまでも無邪気な笑顔のテレストラと、礼儀正しく微笑むサラ。湿り気を帯びている金、銀の髪と上気して赤く染まった頬は、10歳と14歳とは思えないほどに女性らしくて―――


「姉ちゃん自重しろよ?」

「……何のことかしら」


 先手を打つことに成功した少年は、自らも入浴を済ます為に脱衣所へと向かう。

 浴槽のお湯は、予想通り残りわずかであった。



     *



 時刻は23時。普段であれば21時か22時には床に就くテレストラは、布団に入る前からうつらうつらとしていた。布団に入って目を閉じると、疲れた頭でも彼女はふと考えることがある。特に今日は考えざるを得ないのだろう。あれだけ、多くの人に優しくされたのだから。

 彼女が考えざるを得ないもの―――それは理由だ。優しさの理由。


 どうして五条姉弟やリール姉妹は自分にあれだけ優しくしてくれるのか?血の繋がった親兄弟なら、家族であるならわかる。もしくは、それと同然に今まで過ごしてきた人だというならばそれもわかる。でもそうではないだろう。彼らにとってテレストラ・フィーユとはそのような存在ではないはずだ。


 ならばそこには相応の理由が在る。

 命懸けで助けようとしてくれるだけの理由。

 衣食住を保証して面倒を見てくれるだけの理由。

 傷付けられた事を許し笑いかけてくれるだけの理由。


 それがわからないのは怖い。

 彼らの得体が知れないから――ではない。知らず知らず"優しくする対象"から外れてしまうような、大好きな彼らに嫌われるような行動を自分が取ってしまってはいないかわからないのが、怖い。


 理由がわかればそれに適う行動を心掛けられる。嫌われずに済む。

 もしも、もしも彼らに嫌われて、今の自分がまた1人になってしまったら。

 世界でたった1人になってしまったら。きっと耐えられないだろう。

 辛くて。悲しくて。苦しくて。寂しくて。寒くて。痛くて。消えてしまいたくなるハズだ。


 けれどもわからない。悩めど考えど。10歳の少女は答えを見付けられない。

 そうして今日もまた、その内に眠りへと落ちて――――

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