なんでもないよ


「結局のところね」

結局、僕は僕のことを大切にしてくれる君のことさえもスワイプして、目を背けて、生きていってしまうんだろう。悲しいね、うん、悲しいよ。申し訳なくて、でもそう思ってしまうこと自体がもう申し訳なくて、息が詰まるんだ。

大好きだよ、大好きなのに、逃げてしまう僕を許してほしい。



「嬉しかった」

いつの間にか、日常になってしまった。

当たり前になって、それが怖くて、一人泣きそうになっていた。

怖いね、大切なものができてしまうことは、嬉しいけど怖いことだ。



「狩り」

人間関係はいつになっても難しくて、私には逃げる理由にしかならなかった。傷つけてしまいそうで怖いなんて、なんだかどこかで聞いたことのあるような台詞だったりして。私はあなたのことがたまらなく好きだけれど、それを伝えてしまえばきっともう笑い合うこともなくなるし、きっともう、やさしい声を聞くことはなくなってしまうから。だから、捕まらないように逃げるんだ。



「ごめんね」

ありがとう、私のことを見てくれて。

ありがとう、私のことを知りたいと言ってくれて。

ありがとう、私のことを大切にしたいと言ってくれて。

全部全部嬉しくて、申し訳なかったよ。



「弱さ」

こんな、とか。ごめんね、とか。

そんな些細な言葉が君にとってはきっと大きくて重たいものだったんだろうな。なんでなんだろう、私の弱さが君を傷つけていたみたいだ。




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ヨンシュンカ 永遠丸夜 @atatakaiyoru

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