第4話
「おうい、そっちへ行ったぞ。回れ回れ」
「おう、来た来た。追え、詰めろ」
山あいの雪原に屈強な勢子達の声が谺した。
長い冬もようやくその半ばを過ぎた。しかし、集落の民はと言うと、冷えて乾き切った倉の床がいよいよ見え始めたことを危惧し、ただでさえ少ない冬季の資源を求めて厳冬の雪山へと踏み入っていた。勢子は皆、この秋までは農耕の民だった男達であり、閉じた冬に鬱積した力を残すところなく発揮し、溌溂として白銀の世界を駆けていった。この狩猟で狙うは、主には冬山に籠もる鹿の類であるが、踏み分けて進む雪山の中で山神の御意に沿って出くわすだろうものならば、狐から兎、さらには山鳥に到るまで、肉叢や毛皮の取れる動物禽獣をその手に持つ猟弓で狙っていた。
元来農耕を生業とする彼らであるが、弓を構え、弓弦を引き張り、鏃の先を見つめる顔は一様に真剣かつ自然で、放つ矢の確かなこと、鋭きこと、疾きことはかなりの手練であることをうかがわせた。
「どうじゃ、兎は何疋仕留めた」
相打ちを避けるため、あらかじめ工夫を練った陣取りから出発し、獲物に肉薄して行った組の片方の者が、もう片方の組の者へと呼び掛けた。
「こっちは三羽やったぞ」
呼び掛けられた組の方の者が、次なる獲物を意識して冷静に、やや控え目な声で応じた。次いで、先に呼び掛けた方の組は、新たな獲物を見付けたらしく、さらにこう続けた。
「もう兎はやめじゃ。深追いせずに戻れえ。こっちに、でっかいでっかい鹿がおるぞお」
いずれの組も、巧みに木立や岩陰を利用して身を隠していたために、互いに互いの姿を確認することは出来なかった。そのため自然に呼び掛けの声は大になっていったのだろう。目下の獲物であった数羽の野兎を、敏捷に散り散りに走らしむるほどの大声が、静寂の雪原に発せられた。
分かれていた二つの狩猟の組が雪原の真ん中で静かに合流した。先に呼び掛けた組を率いていた惣一は、たった今合流して来た組の者に対し目くばせをして、大鹿の居場所を知らせた。冬場の狩猟という快い運動に快活な表情を見せていた惣一は、ここに到って初めて、合流した片方の組に清助が含まれていたことを思い出した。途端に惣一の口は重くなった。しかし、事の顛末を噂でしか知らぬ、さらには一過性の噂を今となっては忘却してしまっている勢子達は、変わらぬ様子で大鹿の姿を確認することのみを欲していた。この惣一の変化に唯一気付いていたのは、やはり彼を平時と何も変わらない穏やかな眼差しで眺める清助だけであった。
「鹿はいずくにおりますかの」と、ある者が言った。また、ある者は、
「この冬一番の大獲物じゃぞお」と勇んでいた。大勢の勢子達は、大鹿を仕留めて里に帰った際に人々から送られる喝采を今から思い描いて、半ば悦に入ったような目付きで四顧していた。獲物の居場所を知っているはずの惣一は、勢子達からの問い掛けにも答えることを忘れ、今やなるべく清助と目を合わさないよう努めるばかりであった。
勢子達が獲物を探して首を振ることにやや疲れを覚え始めた時、惣一を見兼ねた清助が、低いながらも歯切れのよい声で皆に大鹿の居場所を伝えた。彼はいち早く、大鹿の姿を雪原の遙か彼方、白銀に地と天とが融け合うきわに認めていた。
「おう、皆、あすこにおるのがそうじゃ。さあ、行くぞ」
こう言って彼方を指差した清助にしたがって、大勢の勢子達が勃然と動き始めた。彼らは着実に鹿へと歩み寄りながら、各々無言のまま身振り手振りのみで、それぞれの配置、展開を確認し合っていた。かの獲物はまだ自らに訪れつつある危地の臭いを嗅ぎ付けることはないでいた。彼ら勢子達は、まるで眠る山を起こしてしまわないよう細心の注意を払うかのように、静かにつくばいながら鹿へと近付いていく。
先陣を切って獲物へと肉薄し、それを射程へと収めることに成功した幾人かの勢子が、猟弓の末弭を冬の曇天に突き刺し、弓弦を引いて射撃の体勢に入った。この一連の行動は、玉が響ぐほどのわずかな音さえも加えることなく行われた。それでも、この時になると大鹿は、今まで地にすりつけていた鼻を上げ、しなやかに筋の浮く首をもたげた。そして、健康的にいきり立った両の耳を冬の曇天へと差し伸べて、四辺を懼懼としてうかがっていた。勢子と大鹿はともに静止した。暫時、眠る山の時が消えた。
静けさの中、人と鹿との根比べは人の方に軍配が上がった。長い静けさの中に安全を誤認した鹿は、張りつめた緊張を解いた。再び忙しなく微動し始めた鹿の様子に巧妙に合わせながら、別働の勢子達も鹿へと近付き、同様に獲物を射程に収めた。すべての弓がもたげられ、すべての弓弦が引かれ、すべての鏃が鹿へと向けられた。
ところが、数人の勢子が一番の矢を射ようとしたまさにその刹那、何者かがむせ返る音が雪山に谺した。遠の眠りに入っていた冬山を、不吉なほどに殷殷たる嗽咳が叩き起こしたのだった。
それまで油断していた獲物はこの大音声に跳び上がり、怯えた眼で見やる彼方に自らの命を絶えしめむとしている影を認めた。次の瞬間には、疾風のごとく、雪山の遠く深き方へと逃げ去って行った。
勢子達は一斉に構えていた猟弓を下ろし、逃げ行く獲物の後ろ姿を茫然として眺めていた。そして、獲物を捕まえることの不可能を悟るとすぐに、音の主へと振り返った。振り返った彼らは皆その先に、胸を押さえてうずくまっている惣一を見たのだった。当初彼らの眼差しの中には、獲物を獲り逃したことに切歯扼腕する心と、その原因となった者への忿懣の色が見て取れた。しかし、それも初めのうちだけのことであり、彼らが振り返ってもまだ咳き続けて息急き切っている惣一の様子に、勢子仲間は皆、良からぬものを悟った。その場に居合わせた者のほとんどが、苦しむ彼をただ心配そうに見守っているだけであった。そしてこの心配が、惣一の喘ぎとともに増幅の一途をたどる中、一人の者の声が発せられた。
「おい、どうした、大丈夫か。何ともひどい咳のようじゃが」
声の主は清助であった。清助は、惣一は自分に声を掛けられることは厭うであろうとは思っていた。それでも、惣一の咳に何かしら名状しがたい禍々しさを感じ取った末に、そのような言葉が口を衝いて出たのだった。この清助の言葉に続いて、何人もの勢子達から同様の声掛けが行われた。惣一は依然うずくまりながらも、何とか呼吸を整えようと懸命に咳に抗っていた。しかし、容赦なく咽喉をつき上げて込み上げて来る咳にはなかなか敵わないでいた。惣一は乱れる呼吸の中、絶え絶えに、
「わ、悪いのう。今ので鹿が逃げてしまったじゃろ。まったく、何でこんな時に・・・」という言葉を辛くも吐いた。込み上げる嗽咳の合間に発した言葉であったので、その声は惣一の周囲を囲む幾人かの仲間にしか聞こえなかった。
「鹿なんて、また山に入ればいい。もうどうでもいいんじゃ。とにかく、なるべく喋らん方がええぞ。一旦、山を下りるか」
そう言って清助は周りの仲間にも了解を求める顔を呈した。無論、これに反対する者などなかった。清助は惣一の背を懇切丁寧にさすっていた。
「あ、ありがとうなあ」
惣一はうつむきながらも、喘ぎ喘ぎに感謝の言葉を口にした。だが、この言葉が果たして意図して清助に向けられたものか否かは、胸の苦しさに目をつむる惣一の様子からは見極めることが出来なかった。もっとも、それも二人にとってはどうでもいいことだったろう。ともかく謝辞を言い終えた惣一は、これまでで最も大きく咳き上げた。背をさすっていた清助も、此度の惣一の咳にはいよいよただならぬものを感じ取った。この時、清助の転じた目線の先には、惣一の吐血の跡が確かに見えた。それは、白銀の地に余りにも著しく、そして冷酷に跡を残す唐紅の鮮血だった。これを見た清助は一瞬目を見張って、その場に止まってしまった。しかし、やがて我に返った後、清助は咄嗟に、
「真っ赤じゃ、でも、どす黒くないんじゃから、まだ助かるぞ。ああ、助かるぞ」と、蒼白な真顔のまま、惣一を励ましていた。
勢子達は猟をそこできり上げて、雪山を下りた。そして、枯桑をたどって冬の曇天に連なるような覇気の無い表情を浮かべて里へと戻った。雪山での発作、吐血があった後、里に戻った惣一は村の医道者に掛かり、取りも直さず自邸にて寝込んでしまった。そこから早くも十日を経た今でも、惣一は、屋敷の奥座敷で独り病床に臥したままであるとのことだった。
清助は二度ほど、惣一を見舞うために徳田家の門前まで到ったが、いずれも応対した家中の者に丁重に謝絶された。 二度目の訪問の際、清助は、惣一なしで改めて山に入った狩猟で仕留めた鹿の乾し肉を持参した。その乾し肉も、面会と同様に言葉の上では丁寧に、だがその実はにべもなく断られた。
清助は鹿の肉を片手に揺らしながら、自家へと戻った。徳田家の使い人によって惣一との面会は断られても、病人を励ます言葉は門前で残してきた。彼は自らが漠然と信じて今に到っている、言の葉のもつ霊力と言うものに頼るほかあるまいと考えていた。せめて真摯な言霊は事物を動かす力、ひいては病魔をも退散させる力をもつと信じていたかったのかもしれない。
清助が古く狭い自家へと帰ると、そこでは祖母があくせくと働いていた。祖母は、病床の清助の父に温かく水っぽい食事を作り、同時に、少ないながらも買い求めた薬を煎じているところであった。
「門前までは行ったんじゃが、惣一には会わせてもらえんかった」
彼は、祖母の白髪頭の後頭部を見ながら独り言のようにつぶやいた。
「そりゃあ、向こうも会えぬわな」
祖母は、何事も海容するようないつもの様子とは異なり、どこか険がある口調で、清助を振り返ることもなく言い放った。
「じゃが、頑張れっつう言葉だけでも伝えてくれるよう言ってきたから、あとは何とか惣一に気張って貰うだけじゃ」
清助はまだ無邪気に感懐を述べていた。彼がそのまま三和土から冷え切った板床へと上がろうとした時、祖母は再度口を開いた。
「清助。素朴は、ほんにおぬしの取り柄じゃ。だがのう、おぬしは人を疑うということも覚えなくてならぬぞ」
祖母のこの言い様に、彼は納得ゆかざるものを感じた。そして、
「え、お婆、それは一体どういうことじゃ」と、祖母の真意を問いただそうとした。清助の祖母を見つめる瞳は澄んで、その主の性質を反映しているようであった。祖母は静かに、しかし重く低い声で、
「何も、はなから疑心をもって人と接しろということじゃあない。ただ、時には自らの清い心に無理に反してでも、考えなくちゃならんことがあるということじゃ。なあ、分かってくれろ」と言った。
「まさか、お婆は惣一の病が偽りのものだと言うのけ。おれぁ、雪山の狩りではっきりと病状を見たぞ。ああ、あれは紛れもねえ、本当の血じゃった」
清助は敬愛する祖母に対して、自分でも意図せずに声を荒げて反論していた。
「違う、違う。惣一が病だったのは、きっと確かじゃろ。問題は、今でもまだ寝込んでいるかということじゃ。清助、疑わなくともよい、よおく考えてみろ。諏訪様からこの村へと命ぜられた練兵は、一体いつ始まるんじゃ」
祖母は厳めしく教え諭すような口調で清助に聞いた。
諏訪氏と言うのは、諏訪地方からこの集落及び周辺までを古来諏訪大社の大祝として統治してきた家格であり、今では惣領家と大祝家に分裂し対立していた。この集落は、惣領家の管轄下にあった。そして現在では、大祝家と国衆高遠氏が結んだ勢力と、諏訪惣領家の対立がいよいよ決定的なものになりつつあった。直近ではこの両勢力の対立が深まっていたが、信濃全域に及んでは、両勢力とも、北方の国人である村上氏と拮抗し、さらには信濃守護職小笠原氏にも反目していると言った現状であった。信濃の国を覆う、この守護と国人、加えて国の一宮までをも巻き込んだ不和の影は、今に至り吃緊として風雲急を告げていた。高き山と険しき峰に四辺を囲繞されたこの集落は、修羅の戦場とはなりがたかったものの、有事の際には一廉の兵として働くよう訓練を施すため、近々この村からも一定数の若者が徴集されることになっていた。この教練は、冬の終わりから春にかけての二ヶ月強を占めていたが、これにはわずかばかりだが給金も付随していた。そのため、決して戦にはならないという風評を信じた清助は、これに応じる意思を表明していた。人員の選定は、この半月中に下されることになっていた。
「・・・・・・・・・・」
清助はようやくこのことを思い出し、そしておもむろに、
「村からの兵が選ばれるのは、確かこの月の終わりじゃ。と言うことは、あと十日余りか・・・。練兵だけと言う話じゃったから、おれも応じて、多少なりとも稼ごうと思うとった」と言った。
彼の教練に出る目的が家計を助けるためであると知っていた祖母は、改めてこの清助の答えを聞き、顔を綻ばせざるを得なかった。そして清助を打ち守りながら、
「その練兵、惣一は望んで行きたいと申しておったか」と尋ねた。
「いやあ、このところ惣一とは余り話しておらんかったから、分からん。じゃが、この村を司る徳田家の長子なら、この村から兵力を出すんじゃ、たとい訓練だけであっても、自ら引率せにゃあなるまい」
清助は単純に考えて、こう述べた。これとほとんど間をおかずに、祖母は、既に土間より上がって一段高い居間にたたずんでいる清助を見上げ、
「それはもっともじゃ。じゃがな、それも病となっては難しいのう」と言った。
「病なら、村の責任や何やよりか、静養することが第一じゃ。致し方ないわ」
清助はここまで会話が進んだところで、果たして祖母の言わんとしていることが分かってきたような気がした。しかし、自分の口からそれを言い出すことに、いささか後ろ目痛さを感じ、胸にしまっていた。この集落の実質的領袖とも言うべき家の者が、当然それに付随する責任を全うすることなく、図って脱遁するようなことを想定するに、清助は倫理上の反感を覚えた。と同時に、そのような彼らを白眼視しかねない自分に気付いて、心持ちが悪くなった。
すると祖母は、乾燥した唇に、限りなく固形物に近い泡を浮かべてさらに続けた。
「清助、武者が訓練されるのは、当たり前じゃが戦うためであろ。決してただ体を動かしに行く訳じゃない。今のところは、訓練だけで済むと言う話じゃが、いついつ合戦が始まるとも知れぬ。そしたら、おぬしはどうなる」
これを聞いて清助は、今までこの問題をあえて深刻に考えて来なかった自分を初めて顧みた。自分は他者及び自分の生命を奪い奪われることへの覚悟を持ち合わせているのだろうか。当然、持ち合わせていない。かようなことを会話の合間に考えていた清助は、はたから見れば、粗末な鼠壁のところどころ剥げ落ちた部分をぼおっと眺めているように見えた。彼はしばらく黙り込んだ後、
「・・・・・おれの心になぞ関わりなく・・・・・兵として合戦に向けられるじゃろうな」と、悄然としてつぶやいた。
「おぬしを見とると、その覚悟は全然出来とらんように見えてしまうのじゃ。何かこう、無理に避けておる。いいか、合戦じゃ死ぬか死なせるか、じゃぞえ」
祖母はここではあえて殺すと言う語を用いなかった。それは、心優しき孫の清助の耳に入れるのに、この語は余りにも鋭い棘と激しい毒を持ち過ぎていると思ってのことであった。祖母はさらに、
「そう考えると、おぬしも怖いじゃろうが、残されるわしら家族の者の気持ちも考えてくれろ。それに、二月余りも泊まり込んでの御沙汰じゃ。それが分かったら、惣一の家もまた同じだと分かるじゃろ」と言い聞かせた。こう言う祖母の視線もまた、清助のそれと同様に、鼠壁へと落ち着いた。祖母の焦点は、鼠壁に止まって微動だにしない、越冬の瑠璃蛺蝶に絞られていた。この蛺蝶は不自然にも、その光沢の翅を一向に動かすことはなかった。それは、あたかも自らの玉の緒を虚空界へと置いてきているようにも思えた。
ややあって、清助は重苦しい声で、
「おれが惣一の家族の者なら、やっぱり引き留めるじゃろうな。そこに病なぞあったら、一番の言い訳にはなるけんど・・・」と発した。両者しばらく沈黙を守った後、清助は突然、三和土の上へと片足を上げて、かかとの塵芥を払い落としながら、
「まあ、おれぁ人を疑ることはしたくねえ。徳田の家の人が、惣一は病で寝込んどると言っておるんじゃ。ただそれだけじゃ。他に余計なことは何もねえ」と自ら幕を引くようにして言ってのけた。
「そうか、それも一つじゃ。それでええ。悪かったの。おぬしを案ずるが余りのことと、ゆるしてくれろ」
祖母は再び、元の通り安穏な顔付きに戻った。
「よし、お婆、火はもういいじゃろ。さあ、お椀を。父さんに運んで行く」
清助のこの言葉で、家には普段の黄昏時の営為が舞い戻った。
その月の晦方に、諏訪氏の教練への人員選定が完了して結果が公にされた。そこには確かに免田清助の名が記されていた。だがそこに、依然屋敷で寝込んでいるという徳田惣一の名はなかった。代わって、集落のうちで徳田家に次ぐ家格をもつとされる名主の家から、その長子が名を連ねていた。
それから旬日を経ずして清助は、他に選ばれた若者達とともに集落を離れ、村から遠く離れた諏訪氏の営所へと、およそ二月にわたる教練に赴いた。清助の出立から両日の後、この集落へ、近郷を擾乱に陥れた突発的な兵火を報せる使者が到った。その戦火に見舞われた近郷というのは、お小夜ら巫一行の故郷であった。遣わされた雁書によると、その兵火の発端は、清助の村と同じく諏訪惣領家が統べるお小夜らの故郷を、国衆高遠氏の兵勢が突如として侵したことに始まるということだった。これに応戦する形で諏訪惣領家と高遠氏の間で戦が勃発すると、その一日中には早くも、諏訪大祝家が高遠氏を支援する名分で援軍を派遣し、高遠氏もさらなる兵力の増派を実行したという。もっとも、氷の路が塞がっている今、この村ではその報せの真偽を立証することは不可能だった。と同時に、報せが事実であったとしても、塞がった氷の路によって、こちらへの兵火の類焼は免れることができていたことも事実であった。
その使者の話によると、使者自身の村とお小夜の故郷との行き来も今や、雪により道が通れなくなったため既に跡絶えているということであった。
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